電池への巨大投資に懸念が広がるなか、パナソニックは3日、米EVメーカーのテスラ向け電池事業が四半期ベースで初めて黒字化したことを明らかにしました。
パナソニックは2月3日、2019年度第3四半期決算概要説明会の席上、20年3月期通期の業績見通しについて従来予想を据え置きました。売上高は前期比4%減の7兆7000億円、営業利益は27%減の3000億円を見込んでいます。
いま一つ、業績に勢いがないのはなぜなのか。理由の一つに、成長の柱に位置付けた車載電池事業のつまずきがあります。
まっさきに思い浮かぶのがテスラ向け電池事業です。
米国ネバダ州の巨大電池工場「ギガファクトリー」に2000億円を投じたものの、生産効率は一向に上がらず、パナソニックは赤字に苦しんできました。
それでも、社長の津賀一宏氏は、「テスラ事業の赤字は一過性。黒字転換が見込める」と強気の発言に終始していたんですね。
「3月末までに年32ギガワット毎時まで引きあがる見通しだ」と、3日に開かれた決算会見の席上、CFO(最高財務責任者)の梅田博和氏は述べました。
生産効率を向上させ、黒字を定着させる狙いです。
これで一件落着なのか。いや、課題はまだ残されています。
テスラは「モデル3」の顧客引き渡しが進み、2四半期連続で黒字を確保していますが、 果たしてテスラ車の売り上げがこのまま順調に推移するのかどうか。あるいはEV市場そのものの拡大が今後とも続くのかどうか。予断を許さないからです。
また、テスラが「上海ギガファクトリー」で生産するEV向けの電池にパナソニック製が採用されるのかどうかという問題もあります。
テスラ向け電池事業の黒字化でようやく一息ついたとはいえ、まだまだ安心はできそうにありません。