マツダが5日に発表した2019年4~12月期の連結業績は、営業利益が323億4500万円と、前年同期を43.3%下回りました。この1月、マツダは創立100周年を迎えましたが、再スタートは試練とともに迎えることになりそうです。
※マツダ常務執行役員の藤本哲也氏(写真左)と執行役員の梅下隆一氏
営業利益が前年同期を下回ったのは、為替変動の影響のほか、国内、北米、中国、東南アジアで自動車の販売が低迷したからです。
「マツダは、スモールプレーヤーではありますが、グローバルでの需要減少への影響は避けられません」と、常務執行役員の藤本哲也氏は決算会見の席上、述べました。
ただし、明るいニュースもあります。欧州の19年4~12月期の販売台数は、対前年比11%増の21万9000台と伸びているんですね。9月に導入した新型車「CX‐30」の販売が好調だからです。なかでも「SKYACTIV‐X」搭載車が販売増に貢献しています。
「SKYACTIV‐X」は、ガソリンを燃料としながら、ディーゼルエンジンと同じように「圧縮着火」を実現する燃焼方式です。リーンバーン(希薄燃焼)をガソリンエンジンでも可能にし、エンジン始動時から加速時まで、少ない燃料で高効率な燃焼を行うことで、走りと環境性能を両立しているんですね。
ご存じのように、欧州といえば、厳しい環境規制対応が待ったなしです。マツダも、欧州の厳しい環境規制をクリアしなければならないという大命題を背負っていますが、厳しさを増す環境規制を乗り切るカギが、「SKYACTIV‐X」であることは間違いないでしょう。
また、欧州はドイツのアウトバーンなど、高速で長距離を走る環境が多いことから、走行性能に厳しい目をもつ消費者が多いといわれています。その意味でも、「SKYACTIV‐X」搭載車が評価されたことは、期待できます。
国内外での販売の苦戦など、マツダを取り巻くニュースはいま一つ、パッとしませんが、振り返ってみれば、マツダはこれまでも、歴史的に幾度となく危機的な状況を乗りこえてきました。
「スモールプレーヤー」のマツダがどこまで独自性を貫き通せるか――。創立100周年を迎えたマツダは、試練の中で再スタートを切ったといえます。