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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ソニーのコロナ対応はなぜ、早かったのか

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に歯止めがかかりません。世界保健機関(WHO)が11日、世界的な流行を意味するパンデミックの状態だと認定し、新型コロナウイルス問題は新たな局面を迎えたといえます。感染拡大は、企業業績にいかなる影響を及ぼすのか。企業はいま、出口の見えない危機への対応を迫られています。

厚生労働省が新型コロナウイルスによる肺炎患者の発生を国内で確認したと発表したのは、1月16日です。

それから1か月以上過ぎた2月25日、政府は、新型コロナウイルス感染の拡大を早期に終息させるための基本方針を決定し、企業に対して、テレワークや時差出勤の推進などを呼びかけました。

ところが、政府の呼びかけを待たずに、いち早く、感染拡大防止に向けた行動に着手した企業があったんですね。ソニーです。

「あれっ」と思ったのは、2月4日、東京・品川のソニー本社で開かれた2019年度第3四半期業績説明会でのことです。本社2階の大会議室の受付のテーブルの上に、ビニールで個装されたマスクが山のように積まれていたんですね。

このとき、マスクはすでにドラックストアなどでは在庫切れ状態でしたが、当時はまだ、感染拡大に関しての不安心理はいまほど高まっていませんでした。

「よろしかったら、お使いください」と受付スタッフに声をかけられ、「では、せっかくですから」といってマスクを手にとったことを覚えています。

テレワークに踏み切ったのも早かったんですね。ソニーは2月18日、従業員に対して、テレワークや時差通勤を奨励する通知を従業員に出しました。

なぜ、ソニーの新型コロナウイルスへの対応は、早かったのか。たとえば、2014年11月に発生したソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントへのハッキング事件などの経験を経て、グローバルリスクを敏感に察知する能力を磨かれたことがあげられるでしょう。

ハッキング事件では、ソニー・ピクチャーズの内部文書がウィキリークスで公開され、ソニーは大きな被害を受けました。グローバルな経済活動を取り巻くリスクを最小化するための対策を講じることの大切さ、初動対応の重要性を学んだと思われます。

今回、ソニーがとった新型コロナウイルスへの対応は、企業がグローバルなリスクに対応するにあたっての一つの答えになるのではないでしょうか。

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