「リーマン・ショックをしのぐインパクトがある」――。
新型コロナウイルスの感染拡大が自動車メーカーの決算に影を落としています。なかでもコロナ禍によるグローバルな新車販売の低迷の影響をまともに受けたのが、マツダですね。マツダのコロナ危機事情について見てみましょう。
マツダは14日、2020年3月期の連結決算を発表しました。売上高は前の期に比べて4%減の3兆4302億8500万円、営業利益は47%減の436億300万円となり、2年連続の減益となりました。純利益は81%減の121億3100万円でした。
グローバル販売台数は、9%減の141万9000台と当初の想定を約20万台下回りました。国内は6%の減少、北米は6%の減少、中国は14%の減少となりました。
また、21年3月期の通期業績予想は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を現時点で合理的に判断することが困難という理由から、「未定」と発表しました。
「3月初旬以降、世界的な感染拡大、経済活動規制、外出禁止など、グローバルで販売活動に大きな影響がでました」と、取締役専務執行役員の古賀亮氏は会見で述べました。
マツダの営業利益が押し下げられた背景には、新型コロナの影響などによる販売台数の減少に加えて、ユーロや豪ドルなどに対する円高が進んだことがあげられます。
「リーマン・ショックをしのぐインパクトがある。輸出比率が高いマツダにとっては非常に厳しい状況」と、古賀氏は述べました。
実際、マツダは国内生産の約8割を輸出しているんですね。つまり、為替が円高に振れた途端に収益の悪化を招いてしまう。対ドルで1円の円高が営業利益に与える影響は、6億円といわれています。
2014年にはメキシコ工場を稼働させるなど、マツダは海外生産比率を引き上げてはいますが、円高抵抗力には、まだまだ課題があるといえるでしょう。
ただし、輸出比率が高いということは、それだけ強い国内生産拠点を持っているといういい方もできます。広島や山口に工場をもち、地元には優秀なサプライヤーも数多く存在します。地元雇用や地元経済への貢献も大きいといっていいでしょう。
ホンダや日産が海外生産を進め、日本での生産台数を減らしているのに比べて、マツダの国内生産台数は約100万台。トヨタの国内生産が300万台ですから、マツダの国内生産台数の規模がいかに大きいかがわかりますよね。
トヨタがコロナ禍にあっても、なお、国内生産300万台という責務を死守するのと同様、マツダもまた、重い課題を背負っているといえます。
ただ、マツダの国内生産は、海外市場での販売にかかっていますよね。実際、コロナの影響を受け、マツダは広島の本社工場、山口の防府工場で3月28日から4月30日までのうち13日を操業停止にするなど、生産調整に踏み切りました。
新車市場はいつ回復するのか。販売が正常化するのはいつ頃なのか。
海外市場に頼る度合いが他社より強いマツダは、しばらく辛抱を強いられそうです。