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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ソニーはコロナ禍でも成長を止めない

世界的に感染が広がる新型コロナウイルス。暗いニュースばかりが続く中で、目を引いたのが、ソニーの経営方針説明会です。「ウィズコロナの時代に成長していきたい」と社長兼CEOの吉田憲一郎氏は述べました。

 

ソニーは19日、金融事業を手掛ける上場子会社のソニーフィナンシャルホールディングスを完全子会社化することを発表しました。TOB(株式公開買い付け)により、ソニーフィナンシャルの全株の取得を実施。費用は、約4000億円を見込んでいます。

ソニーフィナンシャルは、傘下にソニー銀行や生保・損保を抱える金融子会社で、20年3月期の営業利益は1296億円と安定事業でもあります。完全子会社化することによって、安定した収益をあげている金融事業の利益全体を取り込む狙いと見られています。

「完全子会社化によって、22年3月期以降、年間400億円から500億円の金融事業の純利益を見込んでいます」と、吉田氏は、経営方針説明会の席上、述べました。

ソニーはまた、同説明会の席上、来年4月1日付けで、社名を「ソニーグループ」に変更することを発表しました。

ソニーグループは、グループ全体の本社機能を担う会社とし、ソニーの名称は、エレクトロニクス事業を担う会社が引き継ぐことになる予定です。

エレクトロニクス事業を担う新生ソニーの詳細については、8月頃に開く説明会で明らかにされるとのことですが、いよいよもって、前社長の平井一夫氏の路線を引き継いだ吉田氏の目指す方向性が明確になってきたといっていいでしょう。

ここ数年、ソニーの収益を支えてきたのは、リカーリングビジネスです。ゲームや音楽分野などにおける継続課金モデルで安定した収益を上げ、ハード依存ビジネスから抜け出したといえます。

それに加えて、安定性のある金融事業の収入を取り込むというわけですね。

コロナ禍の逆風の中、厳しい業績の対応を急ぐ企業が少なくありませんが、ソニーはコロナ後に目を向けつつ、どこに商機を見出せるか、知恵をしぼっています。

それができるのも、平井体制での絶望からの奇跡の復活、そして、それに続く吉田体制による変革の道筋があるからだといえるのではないでしょうか。

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