ソニーは10日、2020年度ESG/テクノロジー説明会をオンラインで開催しました。ESG(環境・社会・企業統治)に積極的に取り組んでいるかどうかを見極めて、投資先を選別する動きが世界的に加速していますが、ソニーのESGの取り組みにはどのような特徴があるのでしょうか。
エレクトロニクス事業からスタートしたソニーは、これまでも当然のことながら、技術に積極的に投資をしてきました。また、近年は「感動を生む、テクノロジー」に力を入れています。
しかし、いくら優れた技術をもっていても、いくら最先端技術を開発しても、それだけでは市場から評価されるとは限りません。ESG(環境・社会・企業統治)を重視した投資が世界的に加速するなかで、ESGへの配慮が十分でなければ、企業は長期的な成長がのぞめないばかりか、リスクを抱えているとみなされるようになっているんですね。
ソニーはもともと、日本企業の中でも〝世界の流れ〟に敏感な企業です。
「2018年、吉田が社長に就任して以降、ESGを強化してきました」と、専務の神戸司郎氏は、オンラインでの説明会の席上、述べました。
まずは、環境への取り組みです。ソニーは、2050年までに環境負荷をゼロにすることを目標とする長期環境計画「Road to Zero」のもとに、環境活動を行っており、その実現に向けたマイルストーンとして、達成年から逆算して5年毎に中期目標を策定しています。
説明会の席上、具体的な取り組みの一つとして紹介されたのが、製品のプラスチック使用量の削減です。ソニーは、海洋プラスチック汚染問題などを踏まえて、2025年までに新たに設計するオーディオなど、小型製品のプラスチック包装材を全廃する計画です。
このほか、社会課題については、「BLACK LIVES MATTER」など、人種絡みの社会不安の広がりを受けて、「しっかり貢献していきたい」と神戸氏は語りました。
人材の多様性やダイバーシティの尊重については、もともとソニーが強みとするところですが、それでもなお、課題はあるようです。
「日本のエレクトロニクス事業における人材の多様性については課題が残されています。エンジニアにはダイバーシティが重要です」と、副社長の勝本徹氏は率直な見解を述べました。
多様なバックグラウンドや考え方を持つ人材を多く抱えることは、ソニーの技術をより強くするためにも欠かせない視点といっていいでしょうね。
日本企業のESG対応には、多くの課題が残されています。たとえば、日本企業のESGへの取り組みは、欧州企業に比べて遅れているといわれますし、情報発信も不足しているといわれます。
しかし、企業の意識は短期的な利益追求から中長期的な利益追求へと移りつつあります。また、気候変動や女性の社会進出、新型コロナの世界的流行という社会的な問題への関心も高まっています。世界規模の問題の解決を機に、日本企業のESG対応は大きく進展するかもしれません。