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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタがいよいよバッテリーEVを本格展開

トヨタ自動車は29日、BEV専用ブランド「bZシリーズ」第一弾となるミディアムセグメントSUV型BEV(バッテリーEV)の詳細を公表しました。日本と中国で生産し、2022年年央に日米欧、中国などで販売する予定です。満を持しての投入となるトヨタのBEVの特徴はどこにあるのか。

世界的にEVの流れが加速するなか、トヨタはいたずらにEV化を急がず、HEV、PHEV、BEV、FCEVという電動化のフルラインナップを推し進めてきました。とはいえ、中心はあくまでも強みのHVで、BEVの生産台数は多くはありませんでした。

トヨタはEVの商品化で出遅れているというのは、かねてから指摘されていますが、もちろん、トヨタにとって技術的にEV製造がむずかしいわけではありません。BEVは走行時のCO2排出がゼロではありますが、ライフサイクルアセスメントの視点からいえば、必ずしもエコではない。トヨタが積極的にBEV化を進めなかった理由の一つでもあります。

ただし、予想を上回るスピードで脱炭素化の動きが進んでいます。そんなわけで、トヨタは、ここへきて積極的にBEV戦略を加速しています。9月7日には、電池の開発と供給に関する説明会を実施し、向こう10年で車載用電池に1兆5000億円の投資を発表。さらに、10月18日には米国電池工場への投資を発表しました。

トヨタのBEV専用ブランド「bZシリーズ」は、中国、米国、欧州、日本など、BEVの需要や再生可能エネルギーによる電力供給が多い地域で発売される予定で、2025年までに7車種の導入を計画しています。

当然、顧客のニーズに応じたさまざまなボディサイズやスタイルが求められるわけですが、それを実現するのが、トヨタ初となる「eTNGA」の考え方に基づくBEV専用プラットフォームの採用です。

BEV専用プラットフォームは、パートナーのスバルとの共同開発により、〝いいEVをつくりたい〟という思いの下につくられました。電動化を得意とするトヨタ、優れたAWD技術を持つスバルが、互いの強みを持ち寄り、低重心、高剛性化のもとに、なめらかな走りを実現しています。

「トヨタのBEV、スバルのBEVではなく、まずは〝いいBEVをつくりましょう〟という思いで開発しました」と、トヨタZEVファクトリーのチーフエンジニア、豊島浩二氏はオンライン説明会で述べました。

ステアリングホイールは、通常式と飛行機の操縦桿のような「ワンモーショングリップ」が選択できます。

また、ルーフ部には、ソーラー充電システムが搭載されており、停車中も充電が行えます。これによって、バッテリー性能が低下する冬場の低温時でも、航続を確保できるんですね。

EVは、ライフサイクルアセスメントの視点を踏まえれば、CO2排出が完全にゼロではありません。よりエコなBEVの普及には、電池の製造時のCO2排出量の削減などが課題ですが、その点において、トヨタは早い段階から電池の内製化に取り組んできたという強みがあります。電池寿命や耐久性などにも力を発揮できます。

電池を含め、いかにエコなEVを普及させるか。豊島氏は、「われわれには、他社よりも電池をつくる経験がある」と語っていましたが、そうした長年の知見こそが、トヨタらしいBEVの開発につながっていくといえるでしょうね。

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