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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタなど5社、カーボンニュートラルの選択肢はEVだけじゃない

トヨタ自動車、マツダ、スバル、ヤマハ発動機、川崎重工業の社長が揃って、岡山県美作市の岡山国際サーキットで共同記者会見に臨みました。5社は、それぞれの技術の強みを生かしたカーボンニュートラルへの挑戦を発表、世界で広がる〝EV一辺倒〟の流れに「待った!」をかけました。

 

11月13日、14日、岡山県の岡山国際サーキットで、「スーパー耐久レースin岡山」(3時間レース)が開催されました。

レースに先立って、サーキットで開かれた共同記者会見には、トヨタ自動車社長の豊田章男氏のほか、マツダ社長の丸本明氏、スバル社長の中村知美氏、ヤマハ発動機社長の日髙祥博氏、川崎重工業社長の橋本康彦氏が出席しました。

トヨタはすでに、5月に富士スピードウェイで行われたスーパー耐久第3戦から水素エンジン車で耐久レースに参戦しており、今回が4戦目になります。

水素エンジン車は、ガソリンの代わりに水素を燃やして走り、走行時にCO2をほぼ排出しません。ガソリンエンジンを転用できるのが利点です。

トヨタは、レースを通して、水素の「つくる」「運ぶ」「使う」という3つのテーマを実践し、パートナー企業を増やしてきました。

自らドライバーの一人としてレースに参戦している豊田章男氏は、「5月の富士24時間レースから、われわれ自動車業界のカーボンニュートラルにおける挑戦の旅が始まりました。この半年、スーパー耐久の各レースで、われわれの情熱を持った意思ある行動により、エネルギーを『つくる』『運ぶ』『使う』に対して、多くの仲間たちが自発的に増えてまいりました」と、会見の場で述べました。

トヨタを中心に進められてきたカーボンニュートラルへの取り組みは、マツダ、スバルに加えて、二輪車メーカーにも広がっています。

マツダは今回、ユーグレナが製造する次世代バイオディーゼル燃料を使って、レースに参戦。マツダ社長の丸本氏は、「9月の初め、豊田章男社長から『遊びにこない?』といわれました。それから1か月、マツダのディーゼルエンジニアがアジャイルで開発を進め、参戦にこぎつけました」と、参戦の経緯を説明しました。

スバルは、2022年シーズンのスーパー耐久シリーズのST-Qクラスに、バイオマス由来の合成燃料を使った車両を投入し、実証実験をする計画です。

二輪車メーカーも、水素エンジンの共同開発の検討を始めました。

ヤマハ発動機はもともと、エンジンサプライヤーとして水素エンジンの開発に取り組んできましたが、今後、カワサキと二輪車に搭載する水素エンジン開発の共同研究を行う計画です。さらに将来的には、ホンダ、スズキも加わり、4社で連携して二輪車における内燃機関を活用したカーボンニュートラル実現の可能性を探っていく計画です。

「各社の特性を生かした方法でカーボンニュートラルを目指していく」と、豊田章男氏は語りました。

トヨタなど5社が今回、一堂に会して共同記者会見を行ったのは、内燃機関活用の可能性を探るためでもあります。それは、日本の企業が得意とするエンジン関連産業の雇用を守ることにつながります。

豊田章男氏の決断によってスタートした、水素エンジン車両のスーパー耐久参戦という大チャレンジ。その活動に、スバル、マツダだけでなく、二輪メーカーも共鳴しました。岡山のサーキットでの5社の一体感は、2021年のスーパー耐久シリーズの締めくくりにふさわしいものといっていいでしょうね。

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