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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタ決算に見る底力

トヨタの2021年4~12月期の連結決算は、売上高、利益とも過去最高を記録しました。半導体の供給不足、新型コロナウイルスの感染再拡大、原材料価格の高騰の三重苦に直面しながらも、堅実な業績といえるでしょう。

トヨタ自動車が9日発表した2021年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比19.2%増の23兆2670億円、営業利益が同67・9%増の2兆5318億円、純利益が同57.8%増の2兆3162億円で、4~12月期として過去最高になりました。

半導体需給の逼迫やコロナ拡大による供給制限、資材価格高騰などのマイナス要因があったものの、これまで進めてきた「もっといいクルマづくり」による商品力強化のほか、販売努力などにより、増収増益の決算となったと見ていいでしょうね。

22年3月期の業績見通しは、売上高が29兆5000億円、営業利益が2兆8000億円、純利益が2兆4900億円を見込んでいます。今年度の世界生産台数は計画の900万台から850万台に引き下げました。

現在、自動車需要は堅調なものの、オミクロン株の感染拡大や半導体需給の逼迫など、先行きが見通しにくい状況が続いています。さらに、原材料価格の高騰にともない、一台当たりの製造コストも上昇しています。

まさしく三重苦に直面しているといえるでしょう。

とりわけ、利益にマイナス影響をもたらしかねないのが、過去に例を見ない原材料価格の高騰です。世界の自動車メーカーが一斉に生産を回復させたことなどにより、鋼材やレアメタルなどの値段が上がっているんですね。原油高がそれに拍車をかけています。

原材料価格の高騰の影響をどうするか。トヨタは今回も、全社をあげた原価改善と固定費の削減で乗り切る構えです。

トヨタは、毎年の原価改善の目標を3000億円としています。地道なコストダウンを毎年積み重ねているわけですが、今回の原材料価格の高騰は、トヨタのお家芸ともいえる原価低減をもってしてもまかないきれないほどのインパクトがあります。トヨタの原価低減の真の実力が試されるといえるでしょう。

すでに世界経済は、「ウィズ・コロナ」もしくは「アフター・コロナ」を見据えて回復傾向に向かっています。その意味で、来期はトヨタにとって勝負どころになるのではないでしょうか。いよいよトヨタの底力を発揮するときがやってくるといえるでしょう。

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