日産自動車とルノーの資本関係見直し交渉は、日産側が特許などの権利保護を求めて交渉が難航していましたが、ここへきて協議の前進が報道されています。
もとはといえば、両社の資本関係は、1999年、経営難に陥った日産をルノーが救済するところから始まりました。現在、ルノーの日産に対する出資比率は43%、一方、日産はルノーに15%出資していますが、フランスの法律により議決権がありません。
日産社内では、資本関係の見直しを求める声があがっていました。
両社は、EVなどの知的財産の取り扱いをめぐって考えの隔たりがありましたが、ルノー側が譲歩する姿勢を見せていると報道されています。なぜなのか。
日産は事業規模でルノーを上回り、ルノーの業績を支えている状態です。加えて、2010年に「日産リーフ」を発売した日産は、世界で初めて量産型EVを発売したEVのトップランナーです。車両だけでなく、バッテリー技術などの技術蓄積もあります。
つまり、EVに賭けるルノーは、日産の技術なくして欧州のEV競争に勝ち抜けない。また、ルノーだけでは研究開発に必要な資金をまかないきれません。
加えて、ルノーは日産にEV新会社への出資を要請しています。日産はEVの技術情報の外部流出を懸念、交渉が難航していましたが、今月に入ってルノーが、日産が保有する特定の知的財産の利用を制限できるという譲歩案を提示し、出資関連の協議も進んだといわれます。
協議がまとまれば、日産の悲願だった資本関係の不平等な状況に終止符が打たれ、両社は名実ともに対等な関係になります。
ルノーの資本注入がなければ、日産は倒産していたかもしれませんが、ルノー出身のカルロス・ゴーン氏の逮捕、ルノー株15%を保有するフランス政府による日産の経営介入など、負の側面があったことは否定できません。
ゴーンから脱却した日産。すなわち悲願を達成した日産は、むしろこれからが正念場で、文字通り、覚悟が問われます。