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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダ決算発表延期の真相は?

ホンダが本日、2015年度第4四半期の決算発表の日程を延期しました。なぜでしょうか。

従来、4月28日(木)の15時10分からとしていたところを、5月13日(金)の16時5分からとした。異例といえます。
昨年、不正会計が発覚した東芝も決算発表を延期し、いろいろと物議を醸しましたが、それくらい異例の事態です。いったい、ホンダに何が起きているのでしょうか。

ホンダによれば、延期の理由は、「2016 年 3 月期の実績値および 2017 年 3 月期の業績予想について、一部数値の確定に若干の時間を要することとなりましたため」ですが、「一部数値の確定に若干の時間」とは、どういうことでしょうか。

私は、これは、タカタ製エアバッグ問題をめぐるリコール費用が関係しているとみています。タカタ製エアバッグは、今月に入ってからも米国で死亡事故が発生しており、リコールの告知以上の対策の徹底が求められています。

タカタ製エアバッグのリコール問題で、もっとも影響を受けるメーカーはホンダですよね。ホンダ車のタカタ製エアバッグの搭載率は、じつに50%です。

問題になるのが、「引当金」です。つまり、将来予想される特定の損失や支出に備える積立金です。厳密にいえば、リコール対策費用ですから「製品保証引当金」です。これを、いったい、今回、いくら計上するべきか。

もともと、会計処理は保守的に行うのが原則ですから、引当金は最大限に見積もるものとされています。そうすると、巨額になるのは間違いない。引当金次第では、業績が大きく変わってしまう可能性すら指摘できます。そうなると、大問題ですよね。

例えば、ソニーは06年度にパソコンの電池発火事故のリコール騒動で、512億円の引当金を計上しました。もっとも、ソニーが実際にリコール費用として費やしたのは約350億円といわれています。今回、ホンダの引当金はどの程度の額になるのか。多分、その額はソニーの比ではないでしょうね。

ちなみに、直近の国内自動車メーカー各社の業績を比較すると、ホンダの利益率がやや低い。これは、引当金対策があるからではないかとウワサされています。

タカタ製エアバッグ問題をめぐっては、リコール費用は総額2兆7000億円になるという報道もあります。また、米当局が近々、新たな制裁をタカタに課するというウワサもあります。

さらに、リコール費用については、いまのところホンダなど自動車メーカーが負担していますが、タカタの負担の割合をどうするかについての当事者同士の話し合いも決着がついていません。いくつか不透明なことがあるために「一部数値の確定に若干の時間を要する」事態になっているのではないか。

タカタ製エアバッグ問題は当面、自動車メーカーにとって頭痛の種であるのは間違いありませんね。

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