三菱自動車工業の燃費試験データに関する不正問題は、今後、どうなっていくのでしょうか。三菱自動車は、立ち直れるのでしょうか。
三菱グループの御三家、三菱東京UFJ銀行、三菱商事、三菱重工業が、どこまで支援するかにかかっているでしょうね。
三菱自動車は、1970年に三菱重工業とクライスラーの合弁事業として設立されました。現在、御三家は、三菱自動車の株式の34%以上を所有しています。つまり、大株主です。
三菱自動車は、00年に大規模なリコール隠し事件を起こしたほか、02年以降大型車のリコール隠しが発覚、05年に把握していた不具合情報を報告せず10年以降にようやくリコールを開始するなど、度重なる失態を演じています。
00年には、ダイムラー・クライスラーが、アジア進出の足掛かりとして三菱自動車と提携を発表しましたが、不正の影響から04年に資金支援を打ち切りました。
結果、三菱自動車は窮地に追い込まれました。
厳しい環境のなかで、三菱自動車の再建を支えたのは、大株主の御三家でした。
御三家を中心とする総額5400億円の出資に加え、三菱商事は自動車事業本部長を務めていた益子修さんを、常務として送り込みました。
もともと、三菱自動車は、海外事業を商事に依存しています。三菱自動車は、身の丈以上に海外進出しているといわれますが、背景には、海外市場でディストリビューター権をもち、いわば「海外販社」の役割を果たしている三菱商事の存在があるんですね。
商事は口銭で稼いでいるわけですから、三菱自動車にしっかりしてもらわないと困るわけです。
益子さんは、05年に代表取締役社長に就任し、14年に現社長の相川哲郎さんに後を託すまで、9年間にわたって同職を務めました。
在任期間が長すぎるとして、弊害を指摘する声もありましたが、会長に退いた現在も、CEOとして経営に深く携わっています。
今回、益子さんはまったく表に出てきていませんが、責任があるのは明らかでしょう。
益子さんは、確かに、強力な経営改革を進め、三菱自動車の再建を果たしたはずでした。三菱自動車の業績は上向き、窮地は乗り越えたと見られていた。
しかし、その内側で、不正は繰り返されていたわけで、三菱自動車の企業風土までは、変えることができなかったということですよね。
前回の再建は、御三家にオンブにダッコでしたが、今回は状況が異なります。
すなわち、三菱商事は、資源安等の影響から16年3月期、初の赤字転落を見込みます。重工も、今日下方修正を発表し、連結純利益は従来予想の前期比18%減が、40%減の660億になりそうだとしています。つまり、業績は芳しくありません。
御三家には、前回、三菱自動車を支援したときほどの体力も余裕もなく、御三家に依存した再建は、考えにくいんですね。
かりにも、御三家で支えきれないとするならば、内外の自動車メーカーに助けを求めることになるのかもしれません。
しかし、環境技術や自動運転技術の競争が激化し、自動車メーカーは、各社、必死の現状です。白馬の騎士が現れるとは、とても思えません。
三菱自動車は、文字通り存亡の危機にあるということです。