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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

シャープは“目のつけどころ”

シャープは再建なるか。
やっぱり、シャープらしく、
“目のつけどころ”は間違っていないですね。

18日、シャープは、中小型液晶事業に関する説明会を開き、
新開発の「FFD(フリーフォームディスプレイ)」を発表しました。
名前の通り、曲げることはもちろん、形を丸くしたり、
画面上に穴をあけたりすることも自由です。

従来、液晶パネルは、
駆動回路をパネルの周囲の額縁部分に設けていました。
そのため、形が四角形に限られていたのです。
シャープは、独自技術で駆動回路を小型化し、
画面全体に散らして、その額縁を設ける必要をなくしました。
これは、イノベーションといっていいと思います。

「FFD」には、さまざまな可能性があります。
例えば、ウェアラブル端末です。
眼鏡型、腕時計型、リストバンド型など、さまざまなタイプが考えられます。
「FFD」を使えば、ディスプレイの形は自由ですし、
縁が必要ないため、設計の自由度があがります。

もちろん、ディスプレイの開発競争は、甘くありません。
サムスン電子はすでに、曲がる液晶ディスプレイ
「フレキシブルディスプレイ」を採用したスマホを、
LG電子は、曲がる有機ELディスプレイを採用したスマホを発売しています。

スマホやウェアラブルなどB2Cの領域は、どうしても競争が激しい。
したがって、今回、シャープがFFDでねらっているのは、
車載用のディスプレイです。
車載用では、例えば、スピードメーターを
ディスプレイに埋め込んだインパネが可能です。
運転していないとき、スピードメーターの部分に
映像を映すなどの使い方もできるでしょう。

一部では、「FFD」は、自動車の設計概念を変える可能性がある
とまでいわれています。
シャープは国内外の約10社の自動車メーカーと交渉を開始。
16年度には、FFDの搭載車が出てくる見通しだといわれています。
車載用ディスプレイの市場は拡大が予測されていますし、
一度採用されれば、安定して長期的な取引が見込めますよね。

一時は、存続が危ぶまれたシャープですが、
「FFD」が普及すれば、復活が見えてくるかもしれません。
技術で生き残ってきたシャープが、今後も生き続けるには、
やはり技術で活路を見出す、
すなわち、“目のつけどころ”をしっかりと定め、
徹底的に深ぼりしていくしかないのではないでしょうか。

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