Loading...

経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

現代自動車は、次こそ教訓をいかせるか

今日、ホンダは「フィット」や「ヴェゼル」のハイブリッド車
17万台以上のリコールを届け出たようですが、
韓国の現代自動車は、13年末、燃費誇大表示をめぐる
米国での集団訴訟で和解したことをご記憶でしょうか。
以下、その続編の物語です。

9日付の日本経済新聞に、
現代自動車は、品質の欠陥に迅速に対応する体制をつくったと記事が出ていました。
グローバル市場で欠陥が見つかったとき、各国政府と協議して、
早く自主的にリコールする体制をつくったというのです。
12の地域本部、56の海外法人という、
68のグローバル生産・販売組織が対象とか。

私は、2012年6月に、ソウル郊外にある
現代自動車グループ大学(Hyundai Motor Group University)という、
研修施設を訪問したことがあります。
その年の5月にオープンしたばかりで、建物は広く、
デザインも凝っていました。

そのとき、現代の担当者からいろいろと説明を聞きましたが、
ちょうどトヨタの米国での品質問題が落ち着いたころで、
それについての話もしていました。

トヨタの品質問題は、成長のスピードに
人材育成が追い付かなかったことが理由の一つとされています。
現代は、同じ轍を踏まないように、ベンチマーキングして
対策を練っていたのでしょうね。

トヨタの研修機関であるトヨタ・インスティテュートのことを
知りたいというので、私は質問攻めにあいました。
その際、彼らは、「グローバル」「リーダーシップ」「クリエイティブ」な人材を、
いかに育成するかだと話していました。

ところが、現代自動車は、その翌年の11月に、
13車種90万台で、平均3%の性能水増し表示が発覚しました。
まあ、あれだけトヨタの品質問題をベンチマーキングしながら、
恐れていたことが起きたというか、つまずいたわけです。

今回の新体制は、そのときの反省があります。
そして、今回ベンチマークしたのは、日経新聞によると、
14年に入って2000万台の車両のリコールをした、GMだそうです。
GMのリコールを教訓に、新体制を築いたというのです。

むろん、新体制は、いざ、世界規模のリコールが起きてみないことには、
うまく機能するかどうか、わかりません。
しかし、ベンチマーキングを欠かさず、他社の事例に学んで、
つねに、リスクを少しでも減らす対策をとり続けるのは、
まあ、どこの自動車メーカーにとっても、当たり前のことですよね。

前の記事:

次の記事:

ページトップへ