高音質のハイレゾリューション音源に、音響メーカーや電機メーカーが
熱い視線を注いでいます。
パナソニックは昨日、2010年に生産を終了していた
「テクニクス」ブランドを復活させ、ハイレゾに対応した
高級オーディオ機器を2015年2月から国内で販売すると発表しました。
上位のR1シリーズは、アンプ、オーディオコントロールプレーヤー、
スピーカー一式の価格が511万4000円、
普及帯のC700シリーズは、58万2000円で、いずれも受注生産です。
18年度に100億円の売り上げを目指します。
「蓄積してきた高品位な音の技術を生かしていきます」
と、パナソニック株式会社Technicsブランド統括ディレクターの
小川理子さんはいいます。
まさに、ハイレゾ音源が4年ぶりにテクニクスブランドを
復活させたといっていいでしょう。
ソニーはこの11月、ハイレゾ対応ウォークマンを発売します。
ソニーもまた、ハイレゾによって、主力のウォークマン事業の立て直しを
図る計画です。
現在、ソニーの国内オーディオ事業に占めるハイレゾ対応機器の
売上比率は2割です。
「2014年下期には、3割にもっていきたい」
と、ソニー株式会社業務執行役員SVPビデオ&サウンド事業本部本部長の
高木一郎さんはいいます。
なぜ、ハイレゾ音源市場が活性化しているのか。
ハイレゾ音源は、圧縮音源では伝えられなかった空気感、
ライブ感を体感できます。
また、ハイレゾ音源の配信がスタートし、PCで高品質な音楽を
楽しむ環境が整ったことも大きいといえます。
「圧縮音源しか聞いたことのない、20代の若い人たちに
その違いを知ってもらいたい」
と、株式会社レーベルゲート執行役員専務の一志順夫さんはいいます。
パナソニックは、シニア層を主要ターゲットに位置づけます。
リタイア生活を送るシニア層には、多くのオーディオ・ファンがいます。
アナログ・オーディオの世代ですね。
ハイレゾ音源は、デジタル・オーディオの登場で失われた
「こだわりの音」の世界を復活させました。
ハイレゾ対応機器は、音にこだわりをもつ、
かつてのオーディオ・ファンの遊び心を満足させる商品であり、
シニアの目線にあった商品といえます。
近頃、シニアの間では、大型二輪を颯爽と乗り回す人が増えています。
行楽地では、ハーレー・ダビッドソン仲間がツーリングを楽しむ姿を目にします。
若いころはできなかった贅沢を、思う存分、味わい、
若いころに叶わなかった夢を実現させています。
そして、“贅沢商品”の牽引役となっているわけですね。
「失われた20年」、どちらかというと、日本のメーカーは
そうした“贅沢商品”に力を入れてきませんでした。
メーカーにも、消費者にも余裕がありませんでしたよね。
しかし、新しい兆しが見え始めています。
消費者が、オーディオがもたらすいい音、いい音にふさわしいデザインを
評価すれば、日本の技術やモノづくりは変わります。
“贅沢商品”がもたらす可能性は、小さくありませんよ。