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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

“クルマもトマトも同じ”日産が農業を強くする

日産が農業の競争力強化に乗り出しています。
一体、どういうことでしょうか。

日産自動車は、2014年度から農林水産省が実施する「農業界と経済界の
連携による先端モデル農業確立実証事業」に参画しています。
農業法人と企業が連携して、低コスト生産技術体系の確立、
ICTを利用した効率的生産体制の確立、低コストの農業機械開発など、
先端モデル農業を確立するのが狙いです。

農業に日産のモノづくりの仕組みを持ち込むとどうなるのか。
10月15日~17日、幕張メッセで開催中の「次世代農業EXPO」の
日産ブースでその取り組みが紹介されています。
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「生産性向上という視点で見れば、クルマもトマトも同じなんですね」
と、日産自動車IPプロモーション部日産コンサルティングの石川祐介さんはいいます。
現在、日産は、住友化学グループの関連会社「住化ファームおおいた」のトマト生産に
日産生産方式「NPW(日産プロダクションウェイ)」のノウハウを活用しています。

「農家さんに話を聞いてみると、課題は労務費管理だとわかりました」
と、石川さんは語ります。
人手を必要とするトマトのパッキング作業は、サイクルタイムが長くなりがちです。
そこで現状、どのくらいの時間でトマトをパックしているかを調べたところ、
平均1パック25秒で作業をしていることがわかりました。

次に、パックごとの作業時間はどうかを調べたところ、パックごとに作業時間のばらつきが大きいことがわかりました。
ばらつきの要因として、パックするトマトの個数に応じて作業時間が伸びるのではないか、
重量合わせのためのトマトの入れ替え回数に比例して時間が伸びるのではないか
という仮説を立てたといいます。

さらに、その要因の特定です。
実測結果を整理すると、サイクルタイムが伸びる要因は個数や入替回数ではなく、収穫箱から一個ずつ重量を判断して、トマトを選びとるのに時間がかかっていることがわかりました。

そこで、まず、トマトを選ぶ判断時間を短くするため、サイズ選別工程を設けた。
作業乱れをなくすために、パッキング、入れ替え、箱詰めの工程を分けた。
各作業のムダを排除するとともに、作業標準化を実施して作業編成を行った。
つまり、ムダを一か所に集めて顕在化させた。
結果、作業者はこれまでの14人から10人に減らすことが可能になった。
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農作業を工程としてとらえて管理する手法は、自動車の生産ラインと同じですね。
トヨタも、クルマの生産管理や工程改善のノウハウを生かして、
農業支援システム「豊作計画」を開発しています。
愛知県弥富市の農業法人、鍋八農産と協力してシステムを試作、運用したところ、
資材費を25%、労務費を5%削減できたといわれています。

カンと経験では、生産性は上げられません。
日産が提案するのは、収益構造の見える化や現状把握、目標値(KPI)の設定、
各費用ごとの改善案の検討などを進めて、コストをコントロールする発想です。

製造業では当たり前のように行われている、コストに対する考え方を
農業の現場にいかに普及させるか。
農業の意識改革が求められます。

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