ホンダの小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」に注目が集まっています。
でも、「ホンダジェット」は当面、日本で販売される予定がありません。
日本は、基本的にビジネスジェット市場の環境が整備されているとはいえないからです。
そもそも、ビジネスジェットで行き来するほど、日本の国土は広くありません。
日本の空港の駐機料は、国際的にきわめて高いという事情もあります。
ただし、2012年3月、成田国際空港にビジネスジェット専用ターミナルと
ビジネスジェット専用駐機場がつくられました。
2014年9月には、羽田国際空港がビジネスジェット専用動線の供用を開始、
国際線旅客ターミナル前の1スポットをビジネスジェット優先にしました。
これは、海外からビジネスジェット機でやってくるVIPのためです。
日本はまだまだ、ビジネスジェット機の普及が進んではいません。
欧米の主要な都市には、ビジネスジェット専用もしくは優先の空港があります。
日本は、後れているといわざるを得ません。
国土交通省によると、ビジネスジェットの保有機数がもっとも多い
アメリカでは、およそ19000機が登録されているのに対して、
日本はわずか、62機に過ぎません。
もっとも、日本人がビジネスジェットに魅力を感じていないかというと、
決してそうではありません。
その一人に、建築家の故・黒川紀章氏がいます。
黒川紀章氏は自ら、ホンダに電話をかけ、「ホンダジェット」を発注しました。
ホンダは、いまのところ、日本では販売の予定はないと、断ったそうですが、
どうしても手に入れたいと、黒川さんは粘られたといいます。
黒川氏は、「ホンダジェット」の日本人顧客第一号になるはずでした。
しかし、黒川さんは、「ホンダジェット」が完成する前に亡くなりました。
かりにも、黒川氏がいま、「ホンダジェット」に乗って、
世界を飛び回っていたとしたら、さぞかし、話題になったことでしょう。
また、「ホンダジェット」を日本で販売しないのは、日本にはビジネスジェットの
サポートサービスの基盤がないのも理由なんですね。
そこで、ホンダは、米国でサポートサービスのノウハウを確立し、
その後、日本でビジネス展開をする考えです。
ちなみに、ホンダは今年5月、米国ノースカロライナ州バーリントンの
ホンダエアロインクを、GEと共同開発した航空機用エンジン「HF120」の修理拠点に選び、米国、カナダ、メキシコなどで認定サービス拠点の構築を進めています。
「ホンダジェット」の市場として期待できるのは、日本もさることながら、
アジアではないでしょうか。
すでに、中国ではビジネスジェット市場が急拡大しているといいます。
ビジネスジェットの専用施設や専用ターミナルが続々とつくられているそうです。
「ホンダジェット」がアジアの空を飛ぶ日は近いかもしれませんね。