松下幸之助は、「松下電器はモノをつくる前に人をつくる会社です」といいましたが、
パナソニックはいまや、「まち」までつくる――といったところでしょうか。
JR東海道線、小田急電鉄、江ノ島線の藤沢駅からバスで約10分。
富士山をのぞむ、湘南新道沿いに「Fujisawa SST(藤沢サスティナブル・
スマートタウン)」はあります。
現在、120戸の戸建てが入居済みですが、2018年までに、
戸建てと集合住宅、合計1000戸が完成する予定です。
今日11月27日は、奇しくも、幸之助生誕120年ですが、
その記念すべき日に、「Fujisawa SST」のグランドオープン式典が行われました。
創業者の松下幸之助の有名な言葉に、「1県1工場」があります。
幸之助は、地方の雇用拡大を進めるため、松下電器の工場を全国各県に1工場以上、
建設するように指示しました。
藤沢工場では、テレビや冷蔵庫がつくられ、まさしく地域雇用に貢献してきました。
その藤沢工場の跡地に、スマートタウンは建設されたのです。
「『Fujisawa SST』は、パナソニックとしても初めてのビジネスモデルです」
パナソニック役員 ソリューション営業担当、ビジネスソリューション本部長の
井戸正弘さんは、オープニング式典でそのように述べました。
これまでスマートタウンといえば、最初にインフラを構築し、
次に家や施設をつくり、最後に住民サービスを考えてきましたが、
ここは違います。
最初に、理想とするまちを実現するための数値目標とガイドラインを設定。
そのうえで、スマートライフを提案し、住人主体のエコ活動を活性化させながら、
スマートインフラを最適構築する仕組みです。
創エネ、畜エネ、省エネ機器の連携で快適なくらしをつくる、
サスティナブルなスマートハウス、ゲートや柵でまちを閉ざすことなく、
安全性を確保するバーチャル・ゲーティッドタウン、
シェアリングサービスによる新しいトータルモビリティサービスなどが整備されています。
そこには、パナソニックのお得意の最新技術が活用されているのです。
パナソニックは、藤沢に続き、関連工場の跡地の神奈川県の茅ヶ崎、綱島のほか、
大阪府茨木市にスマートタウンをつくる計画です。
また、すでに中国の大連ベストシティなどでも、スマートタウンづくりに
参画しています。
パナソニックは、創業100周年を迎える2018年に
連結売上高10兆円規模を目指すと発表しています。
その柱は、住宅事業2兆円、車載事業2兆円です。
「Fujisawa SST」が完成する2018年度に向けて、
どのようなビジネスの種が仕込まれるのか。
10兆円への挑戦に向けて、住宅事業は新たなスタートを切った
といっていいでしょうかね。