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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

『サムスン・クライシス』④ サムスンの社員は幸福か?

豊かさを図る尺度として、「幸福」が注目を集めています。
いうまでもなく、仕事は幸福にとって欠かせない要素です。

サムスンの社員は、一日中、寸暇を惜しんで、
猛烈に働いているイメージがあります。
今週、何度もご登場いただいた、
張相秀さん(現亜細亜大学特任教授・元サムスン経済研究所専務)は、
次のように語ります。

「サムスンの社員は、かなりプライドをもって働いています」
「従業員が会社に誇りをもてば、モチベーションの向上につながり、
企業は業績を伸ばすことができます。個人の夢も叶う。
つまり、ウィン・ウィンの関係を築くことができる。
かりに、20年、30年先にサムスンがつぶれたとしても、
人材マーケットで本人の市場価値が高まっていれば、本人は幸福です。
逆の場合、サムスンは、その人のおかげで儲かるわけですから、
企業として幸福ですよ」

サムスンの社員は、入社3年目までに25%が辞める、
というデータがあります。
この疑問に対して、張さんは、次のように答えます。

「断っておきますが、
25%というのはグローバル基準からいえば平均値ですよ。
日本の離職率が特別に低いんですよ。
というのは、新卒一括採用ですから、
彼らを辞めさせずにキープしていくしかないわけでしょう。
それは、正直、あまり正しくないと思います。
サムスンなどグローバル企業は、
中途採用者をかなりの数、採っています。
その分、退社していく人も多いというだけです。
1万人入社してくる新卒社員全員に対して、
好きな仕事を与えることができたら、そりゃ、辞めないかもしれませんね。
でも、そういうことはあり得ませんから」

「まあ、個人的には、
日本のサラリーマン・システムのほうがいいと思いますよ。
長く会社に面倒を見てもらえるんですから」

と、張さんはそう断りながら、次のように語ります。

「日本企業は、役職のポストが詰まって、滞留していますよね。
それならば、ポストは後輩に譲って、自分は退くべきではないですか。
会社は、退いた人には、年金をあげればいい。
若い人は将来に対するビジョンも描きやすくなるし、
年寄りが長く会社に居座るより、メリットは大きいと思う」

張さんの言葉は、これからの働き方を考えるうえで、
たいへん示唆に富んでいると思います。

詳しくは、明日24日に文藝春秋から発売される、
張さんとの共著『サムスン・クライシス』をご一読ください。

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