政府は、訪日外国人数を2020年に現在の2倍の4000万人、30年には3倍の6000万人に増やす新しい目標を掲げました。2015年は、円安やビザの発給要件の緩和などを追い風に、中国をはじめとする東アジア諸国からの訪日客1974万人を達成しました。果たして、その2倍、3倍の訪日客を呼び込むことができるでしょうか。
目標達成のカギを握るのは、東京、大阪、京都のゴールデンルートにかたよっている訪日客を地方に誘致することです。
なぜ、地方誘致なのか。東京や大阪、京都などの人気都市では、ホテルの稼働率が8割以上に達し、宿泊料金も値上がりするなど、キャパシティは限界に達しています。ゴールデンルートに頼ったままでは、これ以上、訪日客を増やすのはむずかしいからなんですね。
課題となるのは、交通インフラの整備です。外国人旅行者にストレスなく、地方の旅を楽しんでもらうにはどうすればいいか。第二次交通の整備が求められます。例えば、在来線や貸し切りバスの充実です。
それから、活用が期待されるのが、専用アプリを通じてタクシーを予約、利用できるスマートフォン向けサービスです。アメリカ発のウーバーの配車アプリは、ほんの数分で車を呼ぶことができますからね。
ウーバーといえば、自動運転車を使った配車サービスにも取り組んでいます。近く米ピッツバーグで配車サービスに自動運転車を投入するといわれますが、実現すれば、自動運転タクシーを地方の観光の足に使わない手はないでしょうね。
この8月、米スタートアップ企業のニュートノミーは、利用者がスマートフォンを使って、自動運転タクシーを呼び出し、利用者を乗せる実証実験をシンガポールで始めました。
日本でも、ロボットベンチャーのZMPとIT大手のDeNAが、今年2月、神奈川県藤沢市の国家戦略特区で自動運転タクシーの実証実験を行いました。
また、トヨタは8月、タクシー事業者団体の全国ハイヤー・タクシー連合会と自動運転技術を活用した運転支援システムの共同開発で提携しました。
自動運転タクシーがあれば、高齢者が手軽に外出できるようになります。観光だけでなく、地方創生にも役立ちそうですよね。
訪日客を2020年に現在の2倍の4000万人、30年に3倍の6000万人に増やすのは容易ではありません。かねてから観光振興策として叫ばれていた第二次交通の充実は避けては通れません。
もしかしたら、自動運転タクシーのような未来技術が訪日客の増加を可能にしてくれるのかもしれませんね。