イオングループが今年、
米の栽培に乗り出すことをご存じでしょうか。
18の直営農場を展開している
100%子会社の農業法人「イオンアグリ創造」は、
政府の農地バンク制度を活用して、
埼玉県羽生市の水田11ヘクタールを借り、
埼玉県のブランド米「彩のかがやき」を栽培。
収穫した米を、グループのスーパーで
プライベートブランドとして販売したり、外食店舗で活用する計画です。
2月23日付の東洋経済オンラインによると、
今後、合計80~100ヘクタールぐらいまで
水田を拡大していく方針といいますから、
イオンの農業への取り組みは、本気といっていいでしょう。
もっとも、最近では、セブン-イレブン・ジャパンやローソンが
自社農場で野菜を生産するなど、
小売業者の農業ビジネスへの参入は珍しいものではありません。
「イオンアグリ創造」のビジネスで興味深いのは、
イオングループの正社員が自ら農業を営む
“直営方式”をとっていることです。
そして、イオンアグリ創造は、2009年に創業以来、
野菜を中心に18の直営農場を展開するなど拡大をつづけてきました。
セブン-イレブンやローソンを含め、企業が農業ビジネスに乗り出す際には、
契約農家と契約を結び、作物を調達する方式をとるのが一般的ですから、
これはきわめて大きな違いといわなくてはいけませんよね。
では、なぜ、「イオンアグリ創造」は成功したのか。
ひとつには、イオングループという超強力な販路が確保されているから、
と考えられます。つまり、販路がしっかりしていた。
とはいえ、農作物の生産は容易なことではありません。
農業は自然や生き物を相手にする世界だけに、
経験とカンに裏打ちされたノウハウが不可欠です。
ズバリ、成功の秘密は、ITにあると思います。
イオンアグリは、富士通がつくった食と農業のクラウドサービス
「食・農クラウドAkisai」を導入しています。
「Akisai」は、生産管理、販売管理、経営管理のプロセスを
クラウドによって支援して、企業的農業経営の効率化を図る仕組みです。
例えば、「農業生産管理SaaS」というシステムを導入すると、
生産や作業、収穫、出荷の計画や実績、それから、
センサーによって得られたデータをクラウド上で集計し、「見える化」できます。
また、熟練農家の知恵やノウハウをビッグデータとして蓄積し、
ソリューションとして提供するサービスも用意されています。
農作業を徹底的にデータ化することで、
生産性および品質の向上を実現できるわけですね。
イオンアグリ創造は、農業の常識に一切とらわれることなく、
ITの力を借り、コストと品質の両立を追求したんですね。
ITを活用すれば、農業はもはや、
専門家の時代ではないということでしょうかね。