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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナのテレビ黒字戦略

苦戦が続いたパナソニックのテレビ事業が、15年度、ようやく黒字に転換する見込みです。黒字化の先に、どんな戦略が描かれているのか。日本の電機メーカーの意地の見せどころですね。

パナソニックのテレビ事業は、リーマンショック以降、厳しい状況が続き、7年連続で赤字を計上してきました。赤字脱却に向けて、2013年度のプラズマテレビの生産中止のほか、15年1月の中国の液晶テレビ工場の閉鎖など、さまざまな手が打たれてきたのは、ご存知の通りです。

「テレビは、マジックがあるわけではございません。いかにオペレーションを軽くしていくか、いかに市場と呼吸を合わせた展開ができるかだと思います」と、パナソニック社長の津賀一宏さんは、15年3月26日に開かれた「2015年度事業方針説明会」の席上、語りました

DSC092212パナソニックのテレビ事業は、2014年度も149億円の赤字でしたが、15年度は黒字転換する見込みで、ようやく重い“荷物”から開放されることになりそうなんですね。黒字化の先を、パナソニックはどうしようというのでしょうか。

一つは、高付加価値商品で確実に収益をとっていく戦略です。昨年5月、フルハイビジョンの4倍の解像度「4K」に対応するテレビのラインナップを一気に拡張し、現在、ラインナップ、シェアともにナンバー1です。

もう一つは、放送受像機から情報端末への転換です。「新たな価値という意味で、テレビの常識を覆すような、住空間にマッチした新しいテレビが重要」と、津賀さんはコメントしています。

この4月には、テレビ事業部を独立させ、いよいよ黒字化への総仕上げの段階に入りました。事業部として独立させることで、テレビ事業の権限と責任を明確化し、意思決定のスピード化を図るとともに、新たな価値を提案しやすくするのが狙いです。

パナソニックのテレビ販売台数は、12年以降、年間600万台で推移していましたが、15年度は650万台を計画しています。当然、狙いは1000万台でしょう。

追い風は、2020年開催の東京オリンピックです。テレビの買い替えを8年程度と考えると、2020年の東京オリンピックに合わせた「4K」テレビへの買い替え需要が発生する可能性は十分に考えられますからね。

また、新興国で高価格帯テレビの需要が増えることにも期待がかかっています。

パナソニックは、創業100年を迎える2018年に、連結売上目標10兆円を掲げています。このうち、家電部門の売上げ目標は2.3兆円です。テレビ事業の復活は、必須ですね。

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