先週のブログで、東芝の新体制は「期待外れ」と書きました。不適切会計が起きた時期に取締役を務めていた、室町正志さんの社長続投の正当性に疑問を感じたからです。
だって、どう見ても、ほとんどの経営幹部が責任をとって辞任したから、トップを任せる人材がいない。これは、確かです。
私は、この際、思い切って外部の人間にカジ取りを任せるべきだと思いますが、いまやグローバル化は進展し、ビジネスは複雑化しています。東芝の手掛ける事業は幅広い。先進国、新興国を含め、グローバルに事情を把握した経営者を、外部から呼んでくることは、まあ、至難の業ですわね。
そこで、室町続投が決まった。そのミッションは何かを考えてみたいと思います。以下、大きく三つあげたいと思います。
一つは、指摘されている通り、大胆に減損処理を進めることです。
東芝は、今月31日に、15年3月期決算を発表する予定です。不適切会計の1500億円に加え、06年に買収したウエスチングハウスは、原発事故でビジネス自体が落ち込んでおり、純資産やのれん代の減損処理が必要なはずです。リーマン・ショック後に比べ、円安と株高が進んだいまこそ、減損処理のチャンスということもできます。繰延税金資産など、どこまで踏み込んだ数字を出すか。
もう一つは、稼ぐ力を取り戻すことです。
東芝は、原子力事業、新型二次電池、小型燃料電池、照明システム事業、さらには社会インフラ事業、スマートグリッド関連事業などに注力してきましたが、どれも、いまのところ、稼ぎ頭とはいえません。今後、何で稼ぐのか、道筋をつけることできるか。
最後の一つは、後継者を探し出すことです。
室町氏は、今回の留任ですら、反対の声が多かった。社長を務められるのは、まあ、一年ではないでしょうかね。三年務めることは、あってはならないと思います。緊急登板なんですからね。
限られた期間のなかで、次期社長となり得る人材を探し出し、後を託さなければいけない。
どれも、簡単なことではありません。しかし、室町さんが、この三つの役割をどこまで果たすかによって、「東芝復活」の時期は大きく変わってくると思いますね。