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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

東芝は“爆弾”を抱えての再出発か?

東芝は7日、不適切会計の影響で遅れていた2015年3月期連結決算と09年3月期から14年4~12月期までの決算訂正の記者発表を東京・港区の本社で行いましたが、どう評価すべきでしょうか。

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先月18日の会見では、過去7年間の税引き前利益で下方修正が必要な額は、計2130億円としていましたが、118億円増えて、2248億円と発表しました。

2度にわたって発表を延長してきた15年3月期連結決算も公表され、純損益は従来予想の1200億円の黒字から378億円の赤字となりました。

「投資家をはじめとするステークホルダーの皆様には、大変申し訳ないことではございますけれども、当期純損益につきましては、378億円の赤字ということになりました」とは、社長の室町正志さんのコメントです。

これらの数字をどう読むかについては、さまざまな見解があるでしょうね。合計3000億円台の損失計上を想定しているという7月の一部報道を思えば、2248億円の損失は、まあ、想定内といういい方もできます。

今回の記者会見では、繰り延べ税金資産の取り崩しと、06年に買収した原子炉メーカー、ウェスティングハウスののれん代の減損が焦点と見られてきました。

繰り延べ税金資産とは、前払いした税金が将来戻ってくるという想定のもと、払い過ぎた税金相当額をバランスシートの資産に計上する勘定項目です。

繰り延べ税金資産については、今回の有価証券報告書で短期と長期を合わせて、3800億円以上が計上されていますが、税制改正、税率の変更などによる取り崩しはあるものの、基本的に取り崩しは行われていません。いまの東芝にそれだけの利益を生み出すパワーがあるのかどうか。

また、ウェスティングハウスののれん代についていえば、福島第一原子炉の事故以来、原子力ビジネスは縮小しています。だとすれば、当然、のれん代の減損が求められますよね。

当日の記者発表で配られた東芝のプレスリリースには、ウェスティングハウスの「のれんに関する減損の要否については、直近実績から想定されるリスクを織り込んだ将来計画に基づき減損テストを実施した結果、減損は必要ないものと判断いたしました」とあります。

原子力関連事業の売上げはおよそ6200億円で、前期に比べて10%増という説明がありましたが、果たして、明らかに事業環境が悪化しているにも関わらず、プレスリリースの通り、のれんに関する減損はしなくていいと受け取っていいものかどうか。

いってみれば、第三者委員会が上げた不正会計分を処理するのが精いっぱいで、まだまだ“爆弾”を抱えているということでしょうかね。業績復活のマジックがあるわけではありませんからね。

依然として、東芝の財務基盤は脆弱だといわざるを得ないのではないでしょうか。

室町さんは、「社会的責任を痛切に感じています」と語ったうえで、「信頼回復をめざし、東芝の再生に全力で取り組みます」と述べました。結論的にいえば、“稼ぐ力”をつけなければ、東芝の再生はないのは間違いありません。

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