トヨタは11月9日、ダイハツからOEM供給を受ける新型車「ルーミー」と「タンク」を発表しました。
うち「ルーミー」はトヨタ店とカローラ店で、「タンク」はトヨペット店とネッツ店で販売します。
今年4月発売の「パッソ」は、企画からデザイン、開発、生産まで、すべてをダイハツに任せたOEMでしたが、「ルーミー」は、その第2弾で、しかもトヨタがダイハツを完全子会社化して初の小型車なんですね。
月販目標台数は、「ルーミー」「タンク」あわせて7500台と、強気です。前述の「パッソ」の月販目標は5000台でしたからね。
トヨタ常務役員で国内販売事業本部長の佐藤康彦さんは、記者会見の席上、小型車の市場規模が大きくなっていることに触れ、トヨタの全チャンネルで販売することについて、「大事な市場で、トヨタの販売力をフルに生かしたい」とコメントしました。
トヨタにOEM供給するダイハツは、この車を「トール」として販売するほか、富士重工業にもOEM供給し、富士重は「ジャスティ」として販売します。ダイハツは月販1000台、富士重は同500台、トヨタと合わせて3社で月販9000台を目指すんですね。
同じ車を国内で9000台生産、販売できるとなれば、効率的ですよね。
「ダイハツがこれまで軽自動車で培ってきたノウハウを、あますことなく注ぎ込むことで、安全・快適・便利・楽しさ・嬉しさといったお客様が求められる性能や機能を、お求めやすい価格でご提供できる自信作が仕上がりました」
というのは、ダイハツ社長の三井正則さんのコメントです。
新型車のターゲットは、主に20代後半から30代の子育てファミリーで、5人乗りでゆとりのある室内空間が特徴です。
価格は全車種146万3400円から、ターボエンジンを搭載した1.0リッター車は全車種180万3600円から購入が可能です。
競合車の一つは、スズキのコンパクトワゴン「ソリオ」です。
そのスズキもまた、先月、トヨタと業務提携に向けた検討を始めたと発表しました。スズキとダイハツは、国内市場における軽自動車2強で、小型車を得意とするライバル関係にあります。
自動車メーカーは、いま、環境技術や自動運転技術などの技術開発が熾烈化するなか、厳しい経営環境に置かれています。そのなかで今後、ダイハツとスズキの競争関係はどうなっていくのか。
つまり、トヨタとスズキの提携は、どう進むのか、またダイハツとスズキのライバル関係に変化が出てくるのか。そもそも、トヨタ・ファミリーはどうなっていくのか。
今回の新型車の成否は、少なからず3社の関係に影響してくるでしょうね。
小型車市場をめぐって、トヨタの戦略が注目されますね。