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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナ、津賀さん念願の「増収増益」は見えた!?

パナソニックが、順調です。

昨日発表した今年度の第1四半期の業績は、売上高は5%増の1兆8653億円、営業利益は17%増の839億円、純利益は488億円と前年同期比67%増です。


※会見する梅田氏

会見の席上、パナソニック取締役執行役員CFOの梅田博和氏は、「2017年度は、『増収増益』に転じる年と位置付けておりますが、第1四半期からこれを達成し、順調なスタートを切ることができました」とコメントしました。

前期好調だったアビオニクスの不調により、4つの社内カンパニーのうち、コネクティッドソリューションズ社だけは前期比減収減益ですが、全体として増収増益を実現。車載に注目が集まる一方で、家電を中心とするアプライアンス社も好調。一つが不振でも、ほかで補って全体で収益を支えられる構造ができあがりつつあると見ることもできますね。

パナソニックは、2012年6月、2期連続の大赤字の最中に津賀一宏氏が社長に就任して以来、改革を継続してきました。15年度までは、事業の売却や縮小により、為替影響を除く実質の売上高は「減収」が続きました。一方、合理化や固定費削減などで、「増益」は確保してきたんですよね。

並行して、B2Bや車載など成長事業へのリソースシフトを進めました。ただし、昨年度は、米ネバタ州のテスラ向け車載電池工場をはじめ先行投資がかさんだことに加え、中国の不振や熊本地震、円高などが影響して、実質「増収」だったものの「減益」となった。

つまり、津賀さんはいまだ、実質の「増収増益」を実現したことがないわけで、今期ようやく、これまでの構造改革や成長事業への投資が実り、念願の「増収増益」となる予定です。

さて、今期のパナソニックの好調を牽引するのが、車載機器や電子部品を扱うオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社の事業です。スペインの自動車ミラー大手、フィコサ・インターナショナルを子会社化し、これが寄与しています。車載向け部品や、産業用モーターなども好調です。

今年6月から、米ネバダ州のテスラ「モデル3」向け車載電池を生産するメガファクトリーから、電池の出荷が始まりました。この生産量がどんどん増え、投資分の刈り取りが進むのは、今期後半から来期だといいます。

テスラ依存のリスクも指摘されるなかで、メガファクトリーへの巨額投資に踏み切った決断も、とりあえずここまでは、正しかったといっていいのではないでしょうか。

世界的な自動車市場のEV化への流れ、自動車の安全技術の向上やコネクティッド化の流れのなかで、パナソニックはその第一波に、乗りつつあるといったところでしょうか。次々と波をとらえ、成長を続けていくことができるか。好調なときこそ、先を見る目が求められますね。

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