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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダ新型「N-BOX」はコケるわけにはいかない!

フルモデルチェンジされた新型「N-BOX」は、明日、発売です。軽市場は2017年上半期に3年ぶりのプラスとなり、やや上向いていますが、新型「N-BOX」の登場で勢いをつけられるでしょうかね。


※新型「N-BOX」とホンダ執行役員日本本部長の寺谷公良さん

2011年に初代が発売された「N-BOX」は、6年を経た現在も大人気車種です。先月も、国内新車販の登録車・軽自動車を併せたランキングで、トヨタ「プリウス」や日産「ノート」を抑え、1万4503台を販売してトップでしたよね。

近くで見ると、相変わらず、軽とは思えないほど大きい。シートなど内装は、質感を追求したというだけあって、軽らしからぬ高級感がありましたね。

新型「N-BOX」開発責任者を務めた白土清成さんは、「N-BOX」について、「化け物のようなクルマ」といいます。いまだ売れ続けているクルマをフルモデルチェンジすることについて、「普通にモデルチェンジをしたらコケるぞと、悩みました」と、正直に話したほどです。

開発にあたって、悩んだ末にたどり着いたのは「原点回帰」だと語っています。
「最初に『N-BOX』の価値を認めてくれたのは子育てママだ」と考え、子育てママをターゲットに定めた。結果、助手席が570ミリスライドするスーパースライド仕様や、10項目に及ぶ安全運転支援システム「ホンダセンシング」の標準搭載などが決まった。

価格は、「G」グレードが138万5640円(税込み)と、これまでより10万円以上高い設定ですが、安全性能や燃費を考えれば、納得できるか。


※新型「N-BOX」(2トーンカラー)

もっとも、安全性能や燃費に優れることは、もはや消費者にとっては、当然のことになっていますよね。例えば、「フィット」や「フリード」は、オプションでホンダセンシングを搭載できますが、搭載を希望する顧客は両車種とも8割を超えるといいますからね。

「当然」の安全性能を備えたうえで、パワートレインをはじめ、部品の9割以上を見直した。80キログラムの軽量化も実現している。新型「N-BOX」の事前予約は、2万5000台と好調だという。今後も、快走は続くでしょうね。

もっとも、昨年8月にホンダ社長の八郷隆宏さんにインタビューした際、こんなことをいっていました。
「2011年、ホンダの軽は影が薄いなか、僕は鈴鹿製作所所長として『N-BOX』の立ち上げを手掛けました。『N-BOX』をはじめNシリーズは売れたし、評価されているんですが、にもかかわらず『ホンダはなんだか元気がない』といわれます」

ホンダには、「スーパーカブ」「フィット」「N-BOX」といった「生活を豊かにする商品」と、「NSX」や「シビック」「ホンダジェット」など「“走る”喜びを追求する商品」の両輪があります。

「生活を豊かにする商品」が売れると、「NSX」や「S660」、「シビック」のような、“走る”喜びを追求する、いわゆる「ホンダらしい」商品のイメージが薄れてしまうというのは、よく指摘されます。「N-BOX」や「フィット」が売れるだけではダメで、やはり、“走る”喜びを追求する商品に元気がなければいけません。

とはいえ、「N-BOX」は、国内市場向けながら、いまや、ホンダにとって「生活を豊かにする商品」の代表格です。ホンダとしては、ここで、コケるわけにはいきませんね。

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