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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

新型「リーフ」はEVではない!?

先だって、今年7年ぶりにフルモデルチェンジされた日産のEV「リーフ」に試乗してきました。


※新型「リーフ」

「リーフ」は、自動運転レベル2にあたる高速道路場での同一車線自動運転技術「プロパイロット」に加え、ボタンを押すだけで、ハンドルやシフト操作をすることなく駐車できる「プロパイロットパーキング」など、先進技術が搭載されています。

今回、「プロパイロットパーキング」を体験しましたが、慣れない狭い駐車場でも、この機能があれば安心感があると思いましたね。駐車が完了するまで、専用のボタンを押し続ける必要がありますが、逆にいうと、何か不安を感じたときにボタンを離せばすぐに停止しますから、安心感はあります。自動で動いている間に、わざとアクセルペダルを踏んでみましたが、踏んだ瞬間に停止しました。操作すると停止するのは、ハンドルも同様です。

※プロパイロットパーキングのナビゲーション

一般道を運転するにあたって気がかりだったのは、先進技術の一つとして搭載されている「eペダル」です。アクセルペダルを踏みこむと加速し、ゆるめるとブレーキを踏んだように減速し、停止までするという。この「eペダル」の効き具合がどんなふうで、普通のクルマと同じようにスムーズに運転できるものなのか気になっていたんですね。

乗ってみれば、心配するほどのことはありませんでした。運転した感じは、マニュアルトランスミッションのエンジンブレーキのようなものです。信号で止まるときなどは、はじめこそ、思わずブレーキペダルに踏みかえそうになりますが、慣れれば、ほとんどブレーキペダルは使わなくていい。踏みかえなくていい分、ラクです。信号の多い都市部や渋滞では、便利に使えるでしょうね。

街乗りのレベルですが、走りはよかったですね。EV独特の走り出しの加速は気持ちいいですし、静粛性も合格点だと思いましたよ。クルマとしての完成度はかなり高い印象を持ちましたね。

9月に幕張で行われた発表会のとき書きましたが、この席上、日産副社長のダニエレ・スキラッチさんは、「リーフは、EVではありません」と、語ったんですよね。もちろんEVなのですが、あの言葉の真意はどこにあったのか。あらためてたずねてみました。

日産自動車日本EV事業部マーケティングマネージャーの小暮亮祐さんは、次のようにコメントしました。
「EVは手の届かない未来のクルマではなくて、もう、現実として、みなさんの手の届くクルマなんだということを、表現したんですね。それから、これまでEVは、生活に制約があったり、少し不安を感じながら乗るものと思われるところがあったと思うんです。でも、新型『リーフ』は航続距離なども改善したし、インフラ側の設備もずいぶん整ってきた。ですから、『EVではありません』という言葉には、もう、EVは誰でも手が届く環境が整っていますという思いが、込められていたんです」

EVの走りや「eペダル」など先進機能は、乗ってみないとわからない。したがって、日産は、カーシェアやレンタル事業など、試乗する機会の提供に力を入れています。平塚市やららぽーと湘南平塚と共同で、無料試乗貸し出しをスタートしたほか、来年1月から「NISSAN e-シェアモビ」として、新型「リーフ」と「ノート e-Power」のシェアリングサービスを開始予定です。

新型「リーフ」累計受注台数は、15日までに1万2000台を超えたといいます。

GMやフォルクスワーゲン、トヨタなども、ようやくEVに本気になっています。現状、国内でEVを買おうとすると、国産車は、三菱自動車の「i‐MiEV」か「リーフ」に限られますが、20年には、トヨタやホンダ車などが選べるようになるはずです。

EVは、いまや、航続距離やインフラの問題はかなり改善され、普及まであと一歩のところにきています。あとは、プレーヤーが増えることではないでしょうか。消費者がさまざまなEVを比較検討できるようになれば、EVも、市民権を得られるのではないでしょうかね。

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