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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

今年のトヨタの次世代車戦略は?

年明け早々、トヨタはアクセル全開です。米ラスベガスで9日からCESが開催されるのに先立ち、プレスカンファレンスにおいて、社長の豊田章男さんが、「e‐パレットコンセプト」と呼ばれるEV(電気自動車)を発表したんですね。


※豊田章男さん(12月13日撮影)

実現に向けて、米アマゾン、中国のライドシェア大手の滴滴出行、マツダ、ピザハット、ウーバーと提携します。従来のCESの主役だった、家電メーカーや機械メーカーとは縁の薄い企業ばかりですね。あらゆる産業にデジタル化やIT化が行きわたった今日、業界の壁はあってないようなものですからね。

昨年は、トヨタのEV元年だったのではないでしょうか。8月にマツダと資本提携を発表。9月に、マツダとデンソーと組んでEVの基盤技術を開発する新会社「EVシー・エー・スピリット」を立ち上げました。12月13日には、パナソニックと、車載用角形電池の協業検討開始を発表。その5日後には、2030年に電動車の世界販売を550万台以上にし、25年頃までに、エンジン車のみの車種をゼロにすると宣言した。

これまでトヨタは、ポストHV(ハイブリッド車)として、FCV(燃料電池車)に注力してきました。結果、EVに出遅れた、という評が一般的でしたが、これを一気にひっくり返す勢いですよね。

もっとも、指摘されている通り、自動車業界が直面する課題は、EV化だけではありません。「CASE」と表わされるように、コネクティッド化、自動化、シェア化においても大きな波が押し寄せているんですね。

自動車メーカーは、これらの大波を、いかに乗り越えるのか。
「私はトヨタを、クルマ会社を超え、人々のさまざまな移動を助ける会社、モビリティ・カンパニーへと変革することを決意しました」とは、同カンファレンスでの章男さんのコメントです。

「e‐パレットコンセプト」は、EVかつ自動運転のオープンでフレキシブルなプラットフォームといいます。つまり、EVだけでなく、コネクティッド、自動化、シェア化のいずれにおいても、トヨタの描く未来を体現したコンセプトになっているんですね。用途として、ライドシェア、物流、輸送、小売、ホテル、パーソナルサービスなどを視野に入れています。

クルマの未来は、まだ誰にもわかりません。しかし、今後「CASE」は、着実に進んでいくでしょう。「e‐パレットコンセプト」は、成功するかどうかは別として、「CASE」の時代を生き抜くためにトヨタが描いた未来像です。

いまや、サービス、流通、製造などあらゆる産業のパラダイムシフトを、自動車産業がリードしているといってもいい過ぎではないでしょう。進化を続ける自動車から、今年も目が離せません。

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