日産が、アフリカ、中近東、インドに力を入れます。人口増加で販売台数の伸びが期待できるからです。果たして台数の伸びを収益性につなげられるかどうか。
※日産専務執行役員のペイマン・カーガーさん
日産は6月13日、横浜のグローバル本社で、アフリカ、中近東、インド(AMI地域)における取り組みを発表しました。6か年にわたる中期計画「Nissan M.O.V.E. to 2022」の一環です。
「アジア、中近東、インド地域は成長を続けており、機会が豊富な地域です。マーケットは全需が約900万台に到達しようとしており、世界の自動車市場の10%を占めている地域です」
と、日産専務執行役員でAMI地域担当のペイマン・カーガーさんは語りました。
日産によれば、AMI地域の全需は現在880万台で、2022年度には、約4割増の1210万台に達するといいます。
日産の狙いは、AMI地域における収益性の強化です。
課題は、インドです。
「この国で成功している自動車メーカーの数は多くありません。2社しか利益を出していません。他のメーカーはかなり悩ましい状況です」
と、カーガーさん。インド市場での成功がいかにむずかしいかがわかります。
日産は、インドで「ダットサン」ブランドと「ニッサン」ブランドの二重展開、いわゆる「デュアルブランド戦略」を図ります。「ダットサンGO」、「ダットサンGO+(プラス)」、「ダットサンredi-GO(レディゴー)」の3車種に加えて、「ニッサン」ブランドの「マイクラ」、「サニー」、「テラノ」などを販売しています。
インドは小型車が市場の75%を占める特殊な市場といわれています。22年度には550万台市場に成長するとはいえ、国民一人当たりのGDPが約18万円の国では、一台当たりの単価が上がらないのも仕方のないことでしょう。
「ダットサン」ブランドの自動車価格は「利幅が小さい(日産グローバルコミュニケーション本部の永井課長)」のが事実です。いかにしてインドでシェアを上げつつ収益性を高めるか、今後の課題といえます。
日産は、ルノーとの合弁工場であるチェンナイ工場を生産・研究開発拠点に位置づけ、設備の稼働率などの向上を図る計画です。
日産は、「Nissan M.O.V.E. to 2022」で2022年までに売上高営業利益率を10%以上にする目標を打ち出しています。インドをはじめとするAMI地域でどこまで収益性を確保できるか。
カギは新市場での挑戦といえるでしょう。