今日、仏ルノー会長のジャンドミニク・スナール氏が日本に到着しました。日本滞在中に、日産社長の西川廣人氏、三菱自動車会長兼CEOの益子修氏らと会談する予定です。
日産は、スナールさんを取締役に迎える予定ですが、日産の会長の席は、いまのところ空席のままです。日産とルノーの主導権争いの行方は、まだ着地点が見えません。
日産は、12日、2018年度第三四半期の決算会見を行い、その席に、急遽西川氏が登壇しました。
※日産社長の西川廣人さん
席上、アライアンスの運営面の問題について質問され、
「一人の個人に権限が集中することが果たしていいことなのか?ここは、見直さなければなりません」
と、コメントしました。
カルロス・ゴーン氏への権限の一極集中が崩れたいま、一人に権限を集中させない形で、ルノー・日産・三菱自動車のアライアンスをいかにまとめあげるのか。難しい課題です。
もっとも避けなければならないのは、マネジメントがごたごたしているうちに、現場のオペレーションが滞り、業績が低迷することです。
18年度通期の見通しは、売上高11兆6000億円で前回見通しから4000億円減、営業利益4500億円で同900億円減、当期純利益4100億円で同900億円減と、いずれも下方修正しました。
販売実績は、日本と中国で対前年比の販売台数は伸びたものの、米国や欧州では減速しました。
とくに、米国の販売はインセンティブ(販売奨励金)の増加と過度な値引きによって、収益力を大きく落とした。米国事業不振の要因について、西川氏は、「無理なストレッチ」、つまり質ではなく量を求めたことによって収益性が悪化したことを挙げ、
「プッシュによるセールスではなく、バリュー(価値の向上)によるセールスを加速していかなければならない」
と、コメントしました。
ちなみに、日産は、ゴーン氏の役員報酬に係る有価証券報告書の虚偽記載に関し、約92億円を費用計上します。西川さんは、「支払う結論に至るとは思っていない」と述べました。想定される債務を計上するだけで、払うかどうかは別問題だということですね。
検査不正やトップの不祥事によって、日産のブランドは大きく傷ついています。西川さんは、「日産のブランド価値向上は、一朝一夕にはできない」と語りましたが、本当にその通りです。
こうしている間にも、世界中の自動車メーカーは、開発競争にしのぎを削っている。いつまでもマネジメントが不安定では、ブランドの回復どころか、競争力を落とすばかりで、ルノーにとっても日産にとっても、いいことはありません。
険しい道のりですが、これ以上業績を落とさないためにも、できるだけ早く、マネジメントのごたごたに区切りをつけ、腰を据えて事業に取り組むことが求められています。