マツダ社長の丸本明氏が10月9日、母校の慶應義塾大学矢上キャンパスで熱弁をふるいました。日本自動車工業会による「大学キャンパス出張授業」の一コマです。
※マツダ社長の丸本明氏
日本自動車工業会は2013年度以降、各地の大学に自動車メーカーの社長をはじめとするトップクラスを派遣して「大学キャンパス出張授業」を実施しています。一人でも多くの若い人たちに、クルマ、バイク、モノづくりへの関心をもってもらうためです。
会場の矢上キャンパス創想館マルチメディアルームには、400人以上の学生さんが集まり、急遽、補助いすが運び込まれるほどでした。大学生、院生にまじって、付属高校の学生さんも参加していました。
講演者の丸本さんは、1980年に慶応義塾大学工学部を卒業し、東洋工業(現マツダ)に入社しました。記者会見の席では至極、真面目な丸本さんですが、母校での講演とあって、「このなかでクルマの免許を持っているひとは手をあげて」「CASEって何だか知ってる?」など、学生さんに次々質問し、打ち解けた雰囲気が印象的でしたね。
丸本氏が、もっとも力を入れて語ったのは、「サステイナブル〝Zoom-Zoom宣言2030〟を踏まえたマツダの技術開発の考え方でした。
「走行段階のCO2評価のTank-to-Wheelだけでなく、エネルギーの採掘、製造、輸送段階のCO2評価も組み入れたWell-to-Wheel視点でのCO2削減が重要だと考えています」と、丸本氏が図表を指さしながら説明すると、学生さんは、「Well-to-Wheel」と熱心にメモをとっていました。
※会場にはロードスターが展示された
ある学生さんからは、「ロータリーエンジンの復活を待っています」という声があがりました。丸本さんは「経営をしっかりさせれば、ロータリーエンジンの復活はできると思っています」と答えていましたね。
2012年の「RX‐8」の生産停止を機に、ロータリーエンジンは市場から姿を消しましたが、マツダはロータリーエンジンの研究開発をいまも続けています。
「いくらだったら買ってくれますか」と丸本さんが問いかけると、学生さんはしばし「うーん」とうなりながらも、「がんばって1000万円貯めて待っています」と答え、会場を沸かせていました。