いま、消費者の購買パターンが変わろうとしています。
その最新事情です。
米アマゾン・ドット・コムが、米国で、
スマートフォンの「ファイアフォン」を発売します。
サムスンやアップルをはじめ、新興国企業も続々と参入するスマホ市場に、
なぜいま、アマゾンが進出するのでしょうか。
「ファイアフォン」の最大の特徴は、
「ファイアフライ」と呼ばれる機能にある。
身の回りのモノにカメラを向けて専用ボタンを押すと、
そのモノが、アマゾンのデータベースと照合され、
アマゾンで売っているモノなら、ワンクリックで注文できる。
「ファイアフライ」は、映画や音楽といったコンテンツの識別もでき、
対応する商品は、なんと1億を超えるという。
アマゾンは、もとがIT企業ですから、
ビッグデータを用いたマーケティングが強みですが、
ご存じのように、アマゾンは、実店舗をもちません。
消費の現場では、いま、実店舗で実物を確認したあと、
ネットで購入する、「ショールーミング」というスタイルが増えていますわね。
「ファイアフライ」を使えば、アマゾンは、実店舗がなくても、
そこらじゅうが「ショールーミング」の対象になります。
つまり、アマゾンは、「ファイアフライ」のために
スマホ市場に参入したといっていいでしょうね。
いま、消費者の消費行動は多様化が進んでいます。
例えば、ウェブで価格を比較し、SNS(交流サイト)で口コミをチェック。
実店舗で実物を確認。スマホから注文。近隣の店舗で受け取るなど、
消費者の行動は、さまざまなチャネルを経由するようになっています。
本や家電、かさばる日用品などは、家まで運ぶのが面倒ですからね。
生鮮品から衣料、薬、家電、日用品など、
いまや、何でもネットで買う時代です。
即日、翌日の配送サービスも増えています。
こうした消費行動の多様化に危機感を募らせているのが、小売業です。
米国では、百貨店のメイシーズや、小売店ウォルマート・ストアーズなどが、
これに対応するため、「オムニチャネル」化を進めてきました。
実店舗だけでなく、ネット通販やSNS(交流サイト)などを使い、
すべてのチャネルで顧客との接点をつくり、販売につなげる戦略です。
日本企業も、セブン&アイ・ホールディングスやイオンが、
オムニチャネル化を進めています。
セブンは、1000億円規模の投資を行い、
グループ各社の商品や在庫情報を統合し、ビッグデータシステムを構築します。
さらに、全国のコンビニエンスストアの販売店網を生かし、
グループ企業で購入した商品を、
消費者が最寄りのセブンイレブン店舗で受けとる仕組みなどを整えることができます。
これは、アマゾンにはマネできない、ネット通販と実店舗の相乗効果が期待できます。
ネット通販と実店舗は、今後、どちらかがなくなるという話ではありませんな。
確かに、ネット通販の市場規模は増えていますが、
実店舗のニーズがなくなるわけはありませんからね。
今後、アマゾンのようなネット通販の企業と、
ウォルマートやセブンのような小売業の境界線は、
なくなっていくのではないでしょうか。
いずれにせよ、より顧客にとって便利なシステムをつくることが、
売り上げを伸ばすための、いちばんの方法なのは間違いありませんね。