日本は災害列島です。
火山、地震、台風、洪水……などと、年がら年中災害に見舞われます。
その分、日本は、優れた防災技術を有しています。
7月17日付の日本経済新聞夕刊の報道によると、
政府は、チリと共同で、中南米各国の防災専門家の育成を行うといいます。
チリをはじめ、中南米諸国は、
日本と同じく地震や津波、洪水の被害が多い地域です。
気象観測や、耐震・免震技術に関して、大学や行政機関を拠点として、
研究者や行政官を、5年間に約2000人育てるというプロジェクトですね。
防災ソフトの輸出といっていいでしょう。
近年、日本の政府や企業の防災対策、防災人材の育成は、
阪神淡路大震災や東日本大震災を経て、一気に進みました。
異常気象に対しても、豪雪や豪雨対策の設備の増強、
さらに、気象観測体制の強化など、対策が進められています。
今回のプロジェクトの背景には、政治的な問題があるでしょうね。
日本は、中国や韓国との関係が冷えきっているなかで、
環太平洋各国との連携を強めるためにも、
中南米における日本のプレゼンスを高めたい。
支援を買って出れば、日本の存在感アップの効果が期待できますからね。
実際、耐震・免震技術、気象観測の技術などの分野でも、
日本の防災技術の出番も、たくさんあると考えられます。
まあ、政治的な背景は別にして、日本の進んでいる防災人材の育成や、
企業のBCP(事業継続化計画)の取り組みなどについて、
さまざまな形で発信し、世界に貢献することに、
異を唱える人はいないでしょう。
肝心なことは、日本の防災が、3.11のときの「絆」に象徴されるように、
“自助”“公助”“共助”といった、日本独自の文化的要素と
切り離しては考えられないことです。
そうした点を含めて、どこまで日本式防災ソフトを伝えることができるか。
大きなチャレンジになると思います。