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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

いまは“女時(めどき)”か、“男時(おどき)”か

かつて、女性は弱者といわれた時代がありましたが、
いま、女性は弱者どころか、いやいや強者だという人さえいます。
少なくとも、社会における女性の存在感は増しています。
その証拠に、女性だけの開発チームがヒット商品を生み出す
例はゴロゴロあります。
例えば、パナソニックは、商品企画、宣伝、広報などの
女性社員を集めた美容部を発足させ、目元エステ機器シリーズを開発。
女性ならではの視点が功を奏して、ヒットにつながっているようです。

逆に、弱者であったはずの女性が強者になったと考える
弱っちい男性からは、やっかみの声すら聞こえます。
なんで、女性専用車両があるのに、男性専用車両がないのか。
映画館などの「レディースデー」は、逆差別ではないか…と。
聞いていて、いささか、なさけなくなりますが、
そうした声を聞けば聞くほど、女性の元気は当分続くであろうことを
実感させられますわね。

ただし、社会における女性の存在感が高まれば高まるほど、
希少価値とでもいいましょうか、昨今、「男性的なるもの」が
見直されているようにも思います。
いわば、レアな存在として、「男性的なるもの」に光があたっている
といったらいいでしょうか。

例えば、「佐川男子」というんだそうですが、
宅配便のセールスドライバーが人気だと聞きます。
いわゆる“ガテン系”ですね。
結婚するなら、自衛官!という女子もいるらしく、
婚活市場では、「自衛官男子」も人気だとか。
テレビで自衛隊の婚活を紹介している番組を見たことがありますが、
それって、まんざら誇張ではないようですね。

この風潮をもっていよいよ、“男時”の到来ととらえていいのか。
しかし、どうも、そのようにも考えられないわけですな。
早とちりしない方がいいのでは。
なぜならば、ガテン系とかなんとかいっても、
注目されているのは、あくまでも「男性的なるもの」であって、
男そのものではないと思われるからです。
あくまでも、イメージです。
そして、「男性的なるもの」のイメージをつくったのは、
ほかでもない、女性の目線ではないかと考えられるからです。

ちっとも“男時(おどき)”なんかではない。
だからといって、弱っちい男たちに対して、
“起て万国の男どもよ”と呼びかける気は、さらさらありませんな。
威張る男ほど、カッコ悪いものはありませんからね。

安倍総理は、「女性が輝く日本へ」といっています。
企業に対しては、「2030(ニマルサンマル)」といって、
2020年に30%の女性管理職の登用を求めています。
決して低くない目標ですが、それは置いておくとしても、
まあ、時代の空気からいって、女性のパワーは当分、衰えそうにない。

世阿弥は、こちらに勢いがあると思えるときを“男時(おどき)”、
相手に勢いがついてしまっているときを、“女時(めどき)”といいましたが、
いまが、“女時(めどき)”であるならば、女性の勢いにのっかるのが
賢い男の態度なんじゃないでしょうかね。

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