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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

2003年の「ソニーショック」再びか?

ソニーは17日、2014年3月期の連結業績予想を
2300億円の赤字に下方修正したと発表しました。

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※ソニー本社ビル

2014年度の業績について、ソニーは、
「エレクトロニクス事業の回復の遅れにより、
中期目標には遠く及ばず、徹底した構造改革を進めることもあり、
500億円の最終損失となる見込み」と発表していました。
ところが、500億円の赤字から2300億円の赤字へと
損失幅は、いっそう拡大することになります。

「中国系メーカーの躍進など、外部環境が予想外に厳しく、
普及モデルを中心に台数見通しを引き下げた」
ソニー社長の平井さんは、今日の緊急記者会見の席上、
下方修正の要因をそう説明しました。
スマートフォンというもっとも競争が厳しい事業に挑むのですから、
競争環境が厳しいのは当然ではないでしょうか。
それを理由にするのは、どうなのか。

実際、中国のスマートフォンメーカーはいま、
先進国メーカーと互角に戦えるだけの実力をつけています。
あのサムスンでさえ、中国メーカーを恐れています。
すでに報道されている通り、4‐6月期、中国の小米科技(シャオミ)は
韓国サムスン電子を抜き、シェアトップに踊り出ましたし、
聯想集団(レノボ)や華為技術(ファーウェイ)なども勢いを増しています。

例えば、小米科技(シャオミ)がこの夏に出したスマホは、
1000元以下にもかかわらず、「LTE」対応です。
中国の他のスマホメーカーも、次々と1000元以下の高機能スマホを
発売しています。
中国メーカーによる高機能スマホは、ソニーだけでなく、
サムスンやアップルの地位をも確実に脅かしつつあるといえます。

ソニーは、モバイル事業の営業権の全額1800億円を減損損失として計上。
1958年の上場以来、初めて無配に転落しました。
「私が中心となって、不退転の決意で業績を回復していく。
早い段階で復配し、事業を立て直すのが、一番の責任」
と、平井さんは語りましたが、その責任は、重いといわざるを得ません。

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※会見に臨んだ、ソニー代表執行役社長兼CEOの平井一夫氏

ソニーは、モバイル・コミュニケーション事業に従事する7100人の
社員のうち、 15%にあたる1000人を削減する計画を明らかにしました。
しかし、考えてみれば、ソニーは、スマートフォンをイメージングと
ゲームに並ぶ、中核3事業の一つに位置づけています。
本来、収益が期待される中核事業で構造改革が行われるなど、前代未聞です。

「今回の業績修正は、人員削減にともなう費用は考慮していません」
と、最高財務責任者の吉田憲一郎さんは、記者会見の席上、述べました。
私は、一段の業績下方修正の可能性があるのではないかと思いました。
これは、かなり深刻な事態です。
“平井体制”はもとより、ソニーの行方に黄信号が灯っているのは、
間違いないといえるでしょう。

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