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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダジェットは日本で飛び立てるか

ちょっと旧聞に属しますが、
11月16日付の日経新聞電子版に
ホンダが小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」を
2020年を目途に日本に投入する方向で検討を始めた、
というニュースが載っていました。

10月22日のブログにも書いたことですが、
ホンダはこれまで、「ホンダジェット」を
日本で販売する予定はないといってきました。
単刀直入にいえば、需要がないからです。
日本のビジネスジェットの保有台数は、
2011年時点で62機といわれています。
米国の19153機は別格として、インドの243機、
中国の157機、サウジアラビアの116機に比べても
かなり少ないのが現状です。

というのは、指摘するほどのことではないのですが、
日本は、ビジネスジェットでの行き来が必要なほど、
国土が広いわけではないですわね。

では、なぜ、今回、ホンダは敢えて「ホンダジェット」を
日本に投入すると方針転換をしたのか。

記事にも書かれていることですが、背景にあるのは、
東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて、
国土交通省が、主要空港でプライベートジェット機の
受け入れ体制の本格的な強化に乗り出したことがあります。

例えば、今年9月、羽田国際空港は、
国際旅客ターミナル前の1スポットをビジネスジェット優先にしたほか、
ビジネスジェット専用動線の供用を開始し、
受付や待合室、専用のCIQ(出入国審査関連施設)を集約しました。
車寄せから出入国手続きを終えるまでの移動距離はたった25mで、
従来の10分の1以下になったといいます。入国時の所要時間に至っては何と3分です。
いってみれば、電車に乗るよりも早く、飛行機に乗り降りできるようなもんですわね。

同様に成田空港は今年9月、
ビジネスジェットの乗降に利用可能な駐機スポットを2スポット増設したほか、
空港内をより効率的に移動できるアクセス道路を整備しました。
これにより、ビジネスジェット専用ターミナルと
ビジネスジェット用駐機スポットの移動時間は半分に短縮されました。

このほか、中部国際空港や県営名古屋空港、神戸空港などでは、
ビジネスジェット利用客専用のCIQやVIPラウンジが整備されるなど、
利便性向上に向けた取り組みが進められています。
これらの取り組みは、海外からの観光客の増加はもとより、
国内のビジネスジェット需要にも火をつける
きっかけになるのは間違いないのではないでしょうか。

飛行機は、向かい風が強ければ強いほど、
簡単に揚力を得られるため、短い距離で離陸できるといわれています。
ビジネスジェットの“超・向かい風市場・日本”で、
ホンダジェットは果たして飛び立てるのか。
そのカギは、世界のVIPや金持ちが大挙してやってくる
東京オリンピック・パラリンピックが握っているのは間違いないでしょう。

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