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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダ55歳の次期社長の実力は

ホンダは2月23日、緊急記者会見を開き、
伊東孝紳社長が取締役相談役に退任し、
後任社長に八郷隆弘常務執行役員が昇格する人事を発表しました。
6月の株主総会後の取締役会で正式決定されます。

伊東さんは、09年6月に社長に就任後、
在任6年で社長を退くことになります。
「相次ぐリコールなど、困難なことも多かった」と、伊東さんは語りました。

「今年の年明け、伊東社長から打診の電話がありました。
予想していなかったのでびっくりしました。
伊東社長からは、『これまでの経験を生かしてほしい』といわれました」
八郷さんは記者会見の席上、社長就任の経緯について、そのように語りました。
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こういっちゃあ、何ですが、八郷さんは、次期社長として
ほとんどノーマークの人材でした。
社内でも、どうやらサプライズだったようです。

八郷さんは、1982年にホンダに入社後、車体設計を中心に
四輪の研究・開発を担当。
初代米国版「オデッセイ」の開発責任者代行や2代目「CR-V」の
開発責任者を務め、ホンダモーターヨーロッパ・リミテッドの副社長、
本田技研工業(中国)投資有限公司の副総経理などの経験者です。
目を引くのは、その若さですよね。
55歳です。

「八郷さんは、欧州事業の整理、それから中国事業の経験もあります。
そうした経験が、これからのホンダの事業運営に役立つと考えています」
伊東さんは、そのように八郷さんの社長就任の理由について述べました。
伊東さんが社長在任中、力を入れてきた“世界6極体制”の総仕上げ役を
八郷さんに託したかたちといっていいでしょうかね。

じつは、次期社長体制のもとでボードメンバーも一新されます。
“世界6極体制”には、リーマン・ショック後に社長に就任した
伊東さんの思いが込められています。
先進国優先から、台頭する新興国市場を攻略するための海外戦略の核として、
伊東さんが打ちだしたのが、地域自立化を目指した“世界6極体制”です。

したがって、各6極の責任者には、伊東さんが目をつけた人材を
配置しました。
その人たちの何人かが今回、ボードに引き上げられました。
期待できるところですよね。

ついでながら、伊東さんの八郷さんへの置き土産は、
今年度からのF1参戦でしょう。
ホンダは2015年からマクラーレンにエンジンを供給するかたちで、
F1に復帰しますよね。
その決断は、伊東さんをおいてできなかったと思いますね。

F1復帰は、少し早すぎる決断ではないかという見方があります。
ただ、新社長がいきなりF1復帰の決断はできません。
だから、あえて批判を覚悟しても、伊東さんは7年ぶりの復帰を
決めたものと思われます。

「2015年はいままでホンダがやってきたことに花が咲く」
八郷さんは力を込めて語りました。
もちろん、F1参戦もその一つですわね。

さて、ホンダをめぐる経営環境はいま、必ずしも良好ではありません。
「フィット」をめぐる何回かのリコール、また、タカタのエアバック問題も、
依然としてくずぶっています。
業績も、過去最高益を謳歌する他社にくらべてよくありませんね。
2015年3月期連結決算の業績予想を下方修正したほどですからね。
次期社長は、どこまでホンダのトップにふさわしく、
暴れまわって、「花を咲かせる」ことができるかどうか。
手腕が問われますね。

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