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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

カーシェアリングの現在は?

今朝、ある私鉄の駅前で、カーシェアリングのチラシをもらいました。
「すぐ近くにある! ガソリン代・保険料込で10分130円から」
という宣伝文句につられて、ついつい受け取ってしまったんですな。
今日はカーシェアリングについて、少し考えてみたいと思います。

この数年間で、カーシェアリングは爆発的に普及しています。
公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の調査によると、
カーシェアリングの車両台数と会員数は、
2010年の1265台・15894人から、2011年は3915台・73224人、
2014年は12373台・465280人と、ものすごい勢いで伸びている。
実際、「タイムズ」や「三井のリパーク」などで
カーシェアリングが提供されているのを目にする機会が増えましたよね。

カーシェアリングにはさまざまなメリットがあります。
まず、レンタカーのように、店舗に行って手続きをする必要はありません。
スマホのアプリで空き車両を見付けて、すぐに予約。
近くのコインパーキングにいき、
カードやスマホをカードリーダーにかざして開錠したら、すぐに出発です。

レンタカーよりも手軽、タクシーよりもずっと安いとなれば、
新たな“足”として、人気を集めるのは当然ですわね。
また、カーシェアリングは、スマホの普及とともに広まった
という考え方もあながち間違いではないでしょう。

当然のことながら、デメリットもあります。
例えば、土日祝日などは予約で埋まっていることが少なくありません。
つまり、使いたいときに使えるとは限らない。
カーシェアリングについては、ITになぞらえて
「所有から利用へ」というキーワードで語られることが少なくありませんが、
所有には所有のメリットがあるということですね。

それから、基本的に“乗り捨て”が
できないのもデメリットといっていいでしょう。
乗り捨て型カーシェアリングについては、
昨年9月から、メルセデス・ベンツ日本など三社が共同で、
横浜市内の8カ所の駐車場限定でサービスを展開しています。

また、最近では、トヨタとパーク24が共同で、
5カ所の駐車場限定でパーソナルモビリティ「i-ROAD」の
乗り捨てカーシェアリングサービス実証実験の開始を発表するなど、
さまざまな挑戦が行われていますが、
本格的な展開には、まだ少し時間がかかるでしょうな。

“乗り捨て”を認めるとなれば、当然のことながら予約管理が難しくなります。
この問題はITを駆使して解決できるとしても、
利用が偏った場合にそなえて、駐車スペースを余分に用意する必要もあります。
都市でこの問題を解決するのは、至難の業でしょうからね。

もっとも、カーシェアリングを巡っては、
興味深いサービスがいくつかあります。
神奈川県藤沢市の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(以下、FSST)」
に導入された「トータル・モビリティサービス」は、その一例です。

「トータル・モビリティサービス」は、
距離、利用時間、時間帯による交通量の変化などを考慮して、
カーシェアがいいか、レンタカーがいいか、
タクシーデリバリーサービスを利用するのがいいのかどうか。
さらに移動手段はEVがいいか、
電動バイクがいいかなどを判断し、提案してくれます。

例えば、「鎌倉に行く」とすると、コンシェルジュが、
「鎌倉は道幅が狭く、渋滞があるので電動バイクが便利ですよ」などと、
ナビゲートしてくれるんですね。

カーシェアリング市場は、
2016年300億円、2020年400億に成長するという予測もあるようですが、
いまが過渡期なのは間違いないと思います。
まあ、いろいろなモビリティを
賢く使い分けることが大事ということでしょうかねェ。

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