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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ソニーのアキレス腱はスマホ事業

ソニーの第1四半期決算は、まずまずでした。ソニーの発表によると、2015年4~6月期連結決算の純利益は824億円と前年同期比の3.1倍。牽引役は、画像センサーとゲーム事業です。

画像センサーなどの電子部品は、スマートフォン向けが好調なほか、今後も車の自動運転技術分野など、用途拡大が見込まれますね。また、ゲームは「プレイステーション4」の売り上げが世界的に伸びているんですね。

「構造改革の効果は着実に出ている。成長投資の局面に変わった」とは、ソニー副社長の吉田憲一郎さんのコメントです。
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懸念材料は、スマートフォン事業です。スマホ事業は、収益を重視する戦略に転換し、販売台数が減少し、15年4~6月期連結決算の赤字が229億円にのぼりました。

スマートフォンの年間販売見通しは、4月に公表した3000万台から2700万台に下方修正されました。インドやブラジルでの販売不振、欧州での新機種の発売の遅れが要因というのですが、それはあくまでも外部要因ですね。

世界のスマホ市場が鈍化しているなかで、2Q、3Qもさらなる落ち込みが免れないのではないでしょうか。

何度も書いてきたように、スマホが収益を上げられない原因の一つに、「シャオミ」に代表されるように、新興国で低価格製品を武器にした中国企業が勢力を伸ばしていることがあげられます。「シャオミ」のスマホはハイエンド機能と優れたデザインを備えながらも、低価格である点が強みですよね。

サムスン電子も、コスト面で中国メーカーには勝てません。現に、サムスン電子は15年4~6月期連結決算で、スマホなどの営業利益が2兆7600億ウォン(約2900億円)と、前年同期より38%減少するなど、収益を圧迫しました。

ソニーはかつて、スマホ事業を収益事業の柱の一つに位置づけていましたが、こうなってくると、もはやスマホ事業を保有していることこそが、リスク要因といえます。テレビ事業がソニーの業績の足を引っ張ったのと同様、いまのソニーにとってスマホが足かせになっている可能性は低くないと思います。

ソニーは、2015年度からの「第二次中期計画」として、「17年度にROE10%以上、連結営業利益5000億円以上」の目標を掲げています。目標を達成するにあたり、スマートフォン事業をどうするかが、当面の重要課題といえるのではないでしょうか。

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