トヨタは昨日、6年ぶりのフルモデルチェンジした、4代目の新型「プリウス」を、日本より一足先に米ラスベガスで発表しました。年末から国内を皮切りに世界で発売します。トヨタが期待を込めて発表した新型「プリウス」を、どう見ればいいでしょうか。
まず、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)と呼ばれる新しい設計思想を取り入れた初めての車種だということですね。
燃費は既存モデルより10%改善し、JC08モードで1リットル当たりおよそ40キロメートル。3代目に比べて10%アップです。これは、世界最高水準の燃費ですよね。安全性能も高い。
※新型「プリウス」(北米仕様)
次に、デザインです。
車高を従来より2センチ下げ、低重心化しました。これは、TNGAの成果の一つです。低重心化がデザインに与える影響は、じつは相当大きい。なにしろ、デザインの自由度が増します。
ドアなどにくっきりと彫りがあり、一見して、従来の卵型の印象を、シャープというか尖鋭的にした印象です。顔もスポーティで、燃料電池車「MIRAI」に、どことなく似たイメージですね。
低重心化は、デザインだけでなく、クルマの基本性能の向上に大きな意味をもちます。低重心化によって、カーブを回るときのロールやピッチによる荷重移動量が減り、ドライバーの姿勢変化も少なくなります。つまり、走行安定性やハンドリングがよくなり、操作性がよくなる。なめらかかつ道路に吸い付くような走りのイメージですかね。
2年半前の話ですが、13年3月に開かれた説明会で、副社長の加藤光久さんは、次のように語っていました。
「現状は残念ながら競合車に劣るレベルですが、次期モデルではクラストップの低重心を実現させ、運動性能で競合トップを目指して開発を進めています。また、これを実現するため低重心のユニットを開発し、それを低配置化いたします」
つまり、今回の新型「プリウス」で、これを実現したわけですよね。
ちなみに、加藤さんのいう「競合車」は、フォルクスワーゲンの「ゴルフ」とみて間違いないでしょう。
社長の豊田章男さんは、かねてより、今後トヨタすべてのクルマの低重心化を進めると話しています。トヨタがドイツ車にデザインで負けているのは、この重心の差にあるといわれていますからね。
燃費の大幅な向上には、エンジンそのものの技術向上に加え、システムや車体の軽量化が大きい。電池も、「プリウスα」を除き、初めてリチウムイオン電池を採用しています。これも、ニュースですよね。軽量化につながっているのは間違いなく、燃費改善につながったといえますね。
新型「プリウス」は、今年10月末から開催される東京モーターショーの目玉の一つになるでしょう。そして、国内市場が低迷するなかで、起爆剤となり得るか。
「プリウス」は、いまや、トヨタの旗艦機種。ましてや、トヨタがこれからのクルマづくりの柱とするTNGAの第1弾。いまのトヨタの総力が結集されているクルです。ヒットを予感させますね。