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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ソニー・オリンパスの“成果”

ソニーとオリンパスは、3年前の2012年9月に資本・業務提携契約を結び、13年4月にSOMED(ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ)を設立しました。
当時、オリンパスは、不正会計問題で前社長らが逮捕されるなど危機の真っ只中にあった。SOMEDは、医療機器分野への進出を考えていたソニーが手を差し伸べる形で、合弁会社として設立されたんですね。
そのSOMEDの初の成果の発表が、16日、行われました。新製品の「4K外科手術用内視鏡システム」がそれです。
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※左から、勝本さんと田口さん

「新製品は、わかりやすくいえば、交換レンズ式4Kビデオカメラ」と、SOMED社長でソニー業務執行役員SVPの勝本徹さんは、説明しました。つまり、ソニーの映像技術が存分にいかされているんですね。
ソニーのCMOSセンサー、カメラ技術、画像処理技術、モニター、レコーダー、光伝送技術に加え、オリンパスのEDレンズ、工学設計などの技術が融合されています。

私は、2013年10月に、勝本さんにインタビューしたことがあります。勝本さんは、もとはハンディカムの技術者で、一眼デジタルカメラ「α」など、ソニーの新規ビジネス立ち上げに携わってきた方です。
SOMEDのメリットについて、その際、彼は次のように語っていました。
「医療現場を熟知したオリンパスの目で見ると、ソニーの技術があればすごいものがつくれることがわかる。しかしソニーは、技術はあっても、お医者さんが何を見たいかがわからない。ですから、ソニーとオリンパスが合体することで、現場のニーズに応える製品をつくることができるんです」

実際、4Kで大画面に表示された内視鏡の映像を見ると、鮮明さに加え、色域が広がったことによって、赤の色味のわずかな差が、鮮明に映し出されていました。
臨床医が、「一度使ったら戻れない」と語ったといいますが、頷ける話ですよね。

記者会見の席上、勝本さんは、約2年半という開発期間について、「医療機器にとっては非常に早い」と、胸を張りました。ソニー、オリンパス、SOMEDの3社の現場の力が大きかったと語り、「製造から販売まですべての面において現場が協力してくれたおかげです」と強調した。
また、ソニーとの提携について、オリンパス取締役専務執行役員の田口昌弘さんも、「とてもうまくいった例。シナジー効果を発揮できた」と語りましたね。

提携契約当初から、消化器用の軟性内視鏡で世界一のシェアをもつオリンパスと、ソニーの映像技術の融合で、画期的な外科手術用内視鏡をつくることができるとされていましたが、今回の発表を聞いた限り、ここまでのところ、提携時の目論み通りに進んだ印象ですよね。

問題は、新製品が市場にどう評価されるか。オリンパスは、軟性内視鏡こそ世界シェア7割を誇っていますが、外科用の硬性内視鏡は約2割に過ぎない。
ただ、医療分野における顧客の声、すなわちお医者さんからのフィードバックに加え、販売態勢、サービス体制は整っている。
田口さんは、「4K内視鏡をデファクトスタンダードにしたい」と、新製品の売り込みに意気込みます。

SOMEDの成果第1弾の評価は、SOMEDの行く末を占うだけでなく、ソニーの医療事業、ひいては、オープンイノベーションの試金石となるのは間違いないでしょう。

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