トヨタは1日、「クラウン」をマイナーチェンジして発売しました。おもな特徴は、「アスリート」シリーズへの2リットル直噴ターボエンジンの搭載、「マジェスタ」の車体接合部の剛性強化、「ITS CONNECT」と呼ぶ新たな運転支援システムの初搭載です。
ご存じのように、「クラウン」は1955年に誕生した、日本を代表する車の一つですね。「日本のお客さま、日本の道路を追求した日本専用開発車」と、トヨタ製品企画本部ZSチーフエンジニアの秋山晃さんは、記者発表の席上、「クラウン」の位置づけを語っていましたが、「クラウン」には、正統派セダンでありながら、“時代が求める革新”を盛り込まなければならないという、むずかしさを背負っていますよね。
世界初の運転支援システム「ITS CONNECT」は、「ITS(高度道路交通システム)」の専用周波数を活用して、車に搭載したセンサーではとらえきれない見通し外の情報や信号などの情報を、道路に設置されたインフラ設備と車、あるいは車同士が直接通信して、ドライバーに知らせ、安全運転を支援する仕組みです。
例えば、交差点で右折する際、対向車や横断歩道を渡る歩行者がいるのに発進しようとすると、表示とブザー音でドライバーに注意を促します。また、赤信号交差点に近づいても、アクセルペダルを踏み続けていたり、赤信号を見落としている可能性があると、表示とブザー音で警告するんですね。
交通事故の54%は、交差点および交差点周辺で発生するといわれることから、「ITS CONNECT」の搭載が進めば、交通事故低減につながるのは間違いありませんね。
ただし、「ITS CONNECT」は、道路側の設備やデータ処理装置などが必要なため、インフラが追いついていかなければ、普及するかどうかは未知数といわれてきました。現時点では、東京23区内と名古屋市、愛知県豊田市の20か所の交差点で作動します。
トヨタは、年内に「ITS CONNECT」搭載車を3車種まで増やす計画です。その第一弾として、日本を代表する車である「クラウン」に世界初採用の「ITS CONNECT」を搭載した。
トヨタは、何事によらず、慎重に行動します。新しい技術への挑戦については、とりわけそうです。今回、旗艦機種の「クラウン」に「ITS CONNECT」を搭載したことは、相当の“自信作”とみていいでしょう。
トヨタが先陣を切ったことで、「ITS CONNECT」の他社メーカーへの搭載が進むとみていいでしょうね。