クルマは今日、電気自動車や自動運転など、電機メーカーやIT企業抜きには成立しません。ということは、自動車メーカーは、電機メーカーやIT企業に攻め込まれているといっていい。ウカウカしていると、次世代車開発の主導権を握られかねない。そこで、自動車メーカーは、生き残りのためにも、異分野への進出を積極的に進めています。その一例を紹介してみましょう。
ホンダは、11月11日、株式会社LIXIL住宅研究所と合同で、燃料電池車や電気自動車から住宅に電力を供給できる次世代レジリエンスホーム「家+X(いえプラスエックス)」を公開しました。
ホンダは、住宅・サービス事業を行うLIXILと組むことによって、自動車メーカーの枠を超え、新しい暮らしの形を提案しているんですね。
「ホンダの提案は、家で消費するエネルギーを、家でうみだす、家産家消という考え方です」
と、ホンダの取締役執行役員汎用パワープロダクツ事業本部長五十嵐雅行さんは語りました。
「家+X」には、ホンダが自社開発した、ガスエンジンを使って、ガスからつくられた電気と熱を家庭に供給する「エコウィルプラス」、および電気自動車や燃料電池自動車や、太陽光や電力会社の電力、すなわちガスから生成された熱と電力といったさまざまなエネルギーを効率よくマネジメントするV2H対応DC普通充電器「Honda Power Manager」が採用されています。
これにより、停電時にも商用電力から太陽光発電やガスエンジンコージェネレーションに切り替えて家庭に電力を供給するとともに、平常時には余剰電力を電気自動車に充電することが可能になります。
「家+X」は、家と自動車を有機的に結びつけるコンセプトホームなんですね。
「よくいわれる1+1が2ではなくて、1+1が3、4というこれまでにない新しい価値を生み出す住宅にしました」
と、LIXIL住宅研究所社長の今城幸社長は述べました。
この日行われた、東京都葛飾区のコンセプトホームでは、先日の東京モーターショーで公開されたホンダの燃料電池車「FCXクラリティ」から家庭への電力供給が、経済産業省の認可を経て世界で初めて実証されました。
この「家+X」では、そのほかにも、災害時にテレビで家族の安否情報や災害情報を確認することができる「家+テレビ」、玄関やトイレにセンサーを設置し、留守番中の子どもの見守りを助けるロボットBOCCO(ボッコ)を使った「家+絆BOCCO」など、家と暮らしをつなぐさまざまな提案がなされています。
もはや、自動車メーカーが車だけを売る、住宅会社が家だけを売る時代は終わったといえるのかもしれません。自動車メーカーは住宅会社とも手を組むことが求められている。
業界の垣根を越え、それぞれの強みを持ち寄ることが必要とされているということでしょうね。