トヨタの国内の全16工場が、稼働を再開しました。
トヨタは、今月3日、「8日~13日の間、国内における完成車組み立てラインの稼働をすべて停止」するとし、「稼働再開は15日を予定」としていましたから、その通りですね。
トヨタグループの愛知製鋼知多工場で爆発事故が起きたのは、1月8日でした。
愛知製鋼は、エンジンや変速機などに使われる特殊鋼など数千種類を生産しています。事故後、工場内の別のラインにおいて代替生産を行ったほか、ほかの鉄鋼メーカーに生産委託するなど対応を進めました。
当初、車両生産への影響は小さいと見られていましたが、予定通りとはいかず、トヨタは上記のように稼働停止を発表しました。
2011年の東日本大震災後、完成車メーカーが特定の部品メーカーに依存していたために、その部品メーカーの被災によって、車両生産が停止するという問題が指摘されました。
トヨタもまた、この問題の対策として、サプライチェーンを見直したはずでした。
ところが、実際には、今回の事故を受けて、生産停止を免れることはできなかった。「何も学んでいないではないか」という声が聞こえてきます。
二次、三次サプライヤーを分散させても、その先の素材メーカーを一社に依存しては意味がないという指摘は、確かにありました。その意味で、危惧された通りになったわけで、反省すべき点はありますよね。
ただ、今回、愛知製鋼は、特殊性を考えて事前に在庫を確保していたほか、代替生産、他社への生産委託といった対策をただちにとりました。ここには、震災の教訓がいかされている。愛知製鋼の工場復帰に約3か月を要すなか、車両生産停止は約一週間で済んだというのは、ある程度、評価されていいのではないでしょうか。
ただし、私は、今回の問題は、別のところにあると思っています。
愛知製鋼の事故は、加熱炉の点火作業の際、漏れて滞留していたガスにバーナーの火が引火したと想定されています。なぜ、このような事故を、防げなかったのか。
ここに、いちばんの問題点があるのではないでしょうか。ここを深掘りする必要がありますね。
地震や大雪など天災によって、材料や部品の生産、輸送が滞るリスクは、つねにあります。企業は、あらかじめ、こうしたリスクを想定しておく必要があります。
しかし、人災は、天災とは違い、防ぐことができる。
当然、やっていることとは思いますが、サプライチェーン云々より先に、事故再発防止の対策が求められています。これは、基本の“キ”ですよね。