インバウンド(訪日外国人旅行者)の対応策について、これからはキメの細かさが求められます。
地震や津波、大雨など、災害が発生したときに、日本語の理解が十分でない外国人にいかにして情報を発信し、スムーズに避難を促すことができるか。パナソニックが開発中の「メガホンヤク」が役に立ちそうなんですね。
2020年の東京五輪では、世界から通常の何倍もの外国人旅行者が訪れるといわれています。この機会に初めて日本にこられる方など、多様性の幅も今まで以上に拡大することが予想されます。
東京五輪の期間中、かりにも大きな災害が起きれば、日本に不慣れな大勢の外国人旅行者が戸惑わずに避難できるかどうか。予想される環境はたいへん厳しいといえるでしょう。
解決策として期待されるのが、さまざまな先進技術を活用したサービスです。
パナソニックは、自動翻訳できる拡声器「メガホンヤク」を開発中です。
「メガホンヤク」は、日本語で話した内容が、翻訳サーバーに伝わり、英語、中国語、韓国語の3か国語に自動で翻訳され、拡声器から翻訳語が流れる仕組みです。
「訪日外国人へのおもてなしとして、東京五輪を目指して開発を進めていきます」
とは、パナソニックビジネスソリューション本部長、東京オリンピック推進本部長の井戸正弘さんのコメントです。
「メガホンヤク」は、昨年11月以降、成田国際空港で実証実験が行われています。災害時や天候不良時を想定し、ターミナル内の旅行者に向けて、例えば、「具合の悪いお客さまはいらっしゃいませんか」といった日本語を多言語に翻訳して繰り返し案内します。
1995年の阪神大震災では、「避難所」の意味がわからなかったために、救援物資を受け取れない外国人が多かったといわれています。緊急時、外国人に母国語でタイムリーな情報を提供し、適切な行動をとってもらうことは、防災の基本といえるでしょう。
「メガホンヤク」は、大勢の外国人旅行者が集まる空港だけでなく、駅や繁華街、イベント会場などでも役立ちそうですよね。
観光庁は、「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」において、外国人旅行者の安全・安心を確保するための受け入れ環境整備に取り組んでいます。増える外国人旅行者を災害からいかに守るか。観光立国を名乗るためには、そこまで考えなければいけないということですね。