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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタはダイハツに学ぶべきだ!

ダイハツがトヨタから学ぶよりも、トヨタがダイハツから学ぶことの方が多いのは間違いありませんね。トヨタは小型車「パッソ」(ダイハツ名「ブーン」)のフルモデルチェンジにあたり、ダイハツに企画から開発、生産を全面的に任せました。
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ご存じのように、トヨタは1967年にダイハツと業務提携し、小型車の共同開発を行ってきましたよね。また、ダイハツからトヨタに軽自動車のOEM供給をするなど、両社は互いに車両を融通し合ってきました。そして、2016年1月には、トヨタがダイハツを完全子会社化することを発表しました 。

「TNGAを進めるなかで、小さいクルマづくりの難しさを痛感しました。トヨタはミドルクラス以上のクルマづくりや環境技術をはじめとする先端技術開発は比較的得意ですが、小型車ではそこまでの存在感を出せていません」
トヨタ社長の豊田章男さんは、1月29日に開かれた記者会見の席上、そのように述べました。

トヨタのダイハツ完全子会社化の目的は、ズバリ、ダイハツが軽で培ってきた小型車開発ノウハウの取り込みにありますね。

あらためて指摘するまでもありませんが、リーマンショック後、自動車の主要市場は先進国から新興国へと移り、求められる車種は大型車から小型車になりました。

新興国の消費者が欲しいのは、燃費性能がよく安価な車です。

ところが、トヨタに限らず、多くの自動車メーカーは、これまで新興国のニーズをとらえた小型車開発をしてきませんでした。はっきりいって、不得意分野といってもいいでしょう。

破談になりましたが、小型車を得意とするはずの、あの独フォルクス・ワーゲンでさえ、スズキとの提携を模索しました。その背景には、スズキのインドなど新興国向け小型車開発のノウハウの取得があったんですからね。

トヨタは2010年、独自開発した新興国戦略車「エティオス」を発売するなど、新興国強化を進めてきましたが、思うような成果をあげていません。

ダイハツが軽自動車で培ったノウハウを小型車開発に取り入れ、一気に巻き返しにかかろうと考えているんですね。ゆくゆくは、トヨタグループ内の小型車の開発、生産を一本化する計画ともいわれます。

「今後、グループでの小型づくりを進化させていきます。小型車版のTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)として、DNGAを構築して、トヨタとも共有していきます」
と、ダイハツ工業上級執行役員、開発本部担当の上田亨さんは語りました。

トヨタは、1000ccクラスのクルマはつくれませんよね。その意味で、私は、トヨタが小型車開発を進めるうえで、ダイハツに学ぶことはきわめて多いと思います。いや、こと小型車開発では、トヨタはダイハツから学ぶことが圧倒的に多いと思います。

例えば、ダイハツ九州大分(中津)第二工場でのSSC(シンプル・スリム・コンパクト)化のほか、オープン&フェアを徹底した、ダイハツの購入部品の低コスト化、ダイハツが軽で培った軽量化技術などです。

大きいクルマをつくってきたメーカーは、小さいクルマが不得意です。逆に、小さいクルマをつくってきたメーカーは大きいクルマが不得意なんですね。

「1ミリ、1円、1グラムにこだわってつくりました」と上田さんはいっていましたが、そのこだわりがあるからこそ、新型車は、登録のガソリンエンジン車としてトップの燃費性能を達成しながらも、最低価格115万円の低価格を達成できたといえるでしょう。

トヨタの新車販売台数は、北米以外の地域では減っています。とりわけ、インドネシアやタイなど、新興国は厳しい状況です。ダイハツ完全子会社化を機に、新興国戦略を立て直せるかどうか。いまこそ、ダイハツに学ぶべきです。

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