独自動車部品最大手のボッシュは8日、東京・渋谷の本社で、コネクテッド・カーのコンセプト車両を公開しました。この日のためにわざわざドイツからもってきたというんですね。
未来の車の姿をここまでリアルかつ具体的に見たのは、初めてです。
ボッシュは完成車メーカーではありません。部品メーカーのボッシュがなぜ、ここまで力を入れて、コネクテッド・カーをアピールするのでしょうか。
以下は、コネクテッド・カーのデモンストレーションです。
ドライバーが会場に展示されたコネクテッド・カーに乗り込み、指紋認証機能を利用して、車を始動させました。高速道路に入ると、さっそく車両に操作を委ねます。両手の親指をステアリングホイール左右の該当部分に3秒間置くだけで、自動運転に切り替わり、車内はオフィスと同じ快適な空間になるんですね。
自動運転の間に、ドライバーは、車内でオフィスにいる同僚とのインターネット会議を終えました。オフィスのエントランスに到着後、そのままデスクに直行。パレット・パーキング・システムを使って、車は自分で駐車場に向かって駐車してくれます。
帰宅時、走行中に、宅配便の配達員が自宅の呼び鈴を鳴らしました。車はインターホンを作動させ、車内に組み込まれた指紋センサーを利用して、遠隔操作でドアを開けました。指紋認証機能を使って荷物を受け取ることができるんですね。
車が家の前に到着すると、ホームセキュリティシステムにつながりました。監視カメラの画像をチェックして、安全を確認したあと、車は敷地内に入っていきました。
ボッシュといえば、自動車部品の売上高でデンソーと1、2位を争うメガサプライヤーです。そして、ボッシュのビジネスの基本はもともと、OEM部品の販売なんですね。
ボッシュは、コネクテッド・カーでもOEM部品の販売で存在感を発揮することをはっきり見せつけました。
ボッシュがコネクテッド・カーで目指すのは、単に部品の供給だけではありません。ハードだけでなく、ソフトをもがっちり掴もうと計画しています。
カギを握るのは、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」の頭脳といわれるMEMS(微細センサー)です。ボッシュは、MEMSで世界トップの座にあります。
あらゆるものにボッシュのMEMSが搭載されれば、膨大なデータが得られます。そのデータを使って、ボッシュはサービス分野でも収益を得ようとしているんですね。
ボッシュは、IoTでもメガサプライヤーになれるのか。
ドイツからコンセプト車両をもってきてまで、コネクテッド・カーに力を入れた理由は、ここにあるといえるでしょう。