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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダとソフトバンクが描くクルマ

自動車にAI(人工知能)を搭載するといえば、「自動運転」につながる運転支援技術や安全技術が、真っ先に頭に浮かびます。しかし、今回は毛色が違うようです。
自動車の未来に向けた、まったく新しいアプローチです。
どういうことでしょうか。

ホンダとソフトバンクは、21日、AI分野で共同研究を開始すると発表しました。
ソフトバンクのAI技術「感情エンジン」を活用するといいますから、ホンダ車にペッパーが組み込まれるイメージですよね。
各種センサーやカメラなどの情報から、自動車が運転者の感情を推定し、自らも感情をもって対話するようになるといいます。
クルマが、いつも通る道沿いにあるおススメの店を紹介してくれたり、駐車場所や服装のアドバイスまでしてくれることを想定しているようです。

ホンダは、プレスリリースでAI技術の開発について「人とモビリティの新しい関係を創り出すことを目指し…」としていますが、確かに、実現すれば、米TVドラマ「ナイトライダー」のように自動車が「相棒」になる時代がやってきそうですね。

ホンダは、今年9月を目標に、東京・赤坂に知能化技術の研究開発を行う「HondaイノベーションラボTokyo」を開設しますが、この共同開発は、AIをめぐるオープンイノベーション第一弾ともいえるものなんですね。

自動車をとりまく技術をめぐっては、環境技術、自動運転技術に加えて、自動車が常時インターネットにつながる「コネクティッド・カー」の技術競争が活発です。

トヨタとKDDIは、グローバル通信プラットフォームの構築を推進していますし、米ゼネラル・モーターズはAT&Tと、独フォルクスワーゲンは韓国LG電子と、部品メーカーではデンソーも、NTTドコモと組んでいる。

ホンダは、ソフトバンクと組むと同時に、通信だけではなくAI技術を共同開発する。クルマは、走りながらさまざまな情報を収集・蓄積できる端末です。実現できるサービスには、さまざまな可能性があります。果たして、ホンダ×ソフトバンクで、どんな化学反応が起きるのか……。

21日にソフトバンクが法人顧客向けに開いたイベントでは、本田技研工業取締役専務執行役員で本田技術研究所社長の松本宜之さんが、共同開発するAI技術について「二輪、四輪、汎用、ロボティクス、ジェットまで含めてすべての製品に実装を目指す」と話しました。ホンダのロボティクスといえば、「ASIMO」です。将来的には、ASIMO×ペッパーのような商品も期待できるかもしれません。

もちろん、「クルマに感情はいらない」とか、「サイバー攻撃を受ける可能性がある」など、否定的な意見もあれば、負の側面もあります。それは当然ですね。

しかし、「自動運転」や「安全」「環境にやさしい」クルマだけが、自動車の未来ではないはずです。少なくとも、「相棒」となりうるクルマには、“夢”があるではありませんか。
クルマ社会の未来には、まだまだ限りない可能性、あるいは“夢”があると思いますね。

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