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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産の業績回復はいかにや

日産の決算が冴えません。まあ、これは予想されたことですね。三菱自動車の軽をめぐる燃費不正と円高ですからね。Wパンチを受けたわけです。
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日産自動車は27日、2016年4~6月期連結決算を発表しました。売上高は前年同期比8%減の2兆6544億円、営業利益は同9%減の1758億円、純利益は同11%減の1363億円でした。

売上高は7年ぶり、営業利益は3年ぶり、純利益は4年ぶりに前年同期比を下回ったことになります。国内販売の減少と円高の影響をモロに受けた格好です。まさに、Wパンチですわね。

「軽の『デイズ』シリーズの販売停止の影響で国内販売は2か月分がなくなりました」と、常務執行役員の田川丈二さんは決算会見の席上、語りました。

軽の「デイズ」シリーズの販売停止が大きく響き、4~6月期の国内販売は、前年同期比25%減の9万台に落ち込みました。

日産の国内占有率は、8.3%となり、前年同期から11%下がりました。国内占有率は2ケタを割ったことになるんですね。

「正直、ショックではあります。しかし、原因は明確にわかっているので頭を抱えるということではありません。落ち込んではいません」というのは、同日の決算会見に同席した、国内営業を担当する専務執行役員の星野朝子さんのコメントです。

日産の国内販売は、2012年にトヨタ、ホンダ、ダイハツ、スズキの後塵を拝し、2位から5位に転落しました。軽は、日本の自動車市場の4割を占める勢いがありました。

そこで、日産は、軽を抜きにしては国内販売の業績向上は考えられないとして、かねてより三菱自動車と組んで、軽への参入を推進してきたんですね。

ところが、三菱自動車の燃費不正で、肝心の軽が吹っ飛んでしまったわけです。業績不振に陥るのは、こりゃ、当然ですよね。

もう一つのパンチは、為替の影響です。円高が営業利益を912億円押し下げました。

「このうち、約300億円がドル円の影響です」と、田川さんは語りました。

ご存じのように、英国のEU離脱問題で円高が進んでおり、このままいくと減収ゾーンに突入する可能性があると懸念されています。となると、日産の収益はいま以上に悪化するのでしょうか。

求められるのは、収益が為替に左右されない強い経営体質をつくることです。当然、日産もすでに手を打っています。

「今後とも、現地生産、現地調達を進めていきます」と、田川さんはコメントしました。

日産は、8月に自動運転技術を搭載したミニバン「セレナ」を発売するほか、秋には新しい電動化技術「eパワー」を搭載した小型車を発売します。これらの新車が国内販売の挽回策になるのかどうか。

この7月、日産は燃費不正で停止していた軽2車種の販売を再開しましたが、私は、とにかく早く軽を立て直すことだと思います。でないと、三菱自動車を傘下におさめた意味がなくなりますからね。業績の回復もままなりませんものね。

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